蒼い蒼い夜空のしたで
不動明王さまが
剣技をふるっている

踊るようにふるわれている

不動明王さまが
怒りも、憎しみもないのを
剣の音がつたえてくる

怒りにやられましたら
舞いにはなりませんから
憎しみにやられましたら
舞いには、なりませんから……

誰かが話している

歌のような音が
剣のかさなりから
あたりに響いている

綺麗な髪の毛が
風にゆれ
動きにゆれ

……

怒りももたず
憎しみももたず
彼の目は静かなまま
剣が光をおびて
ふるわれていく

ただ、猛毒となるモノを
剣の風と、音が
浄めはらっていく


……

剣から
あかい、ひかる
とんがらしのような薫りがする

不動明王さまと似たような
きれいな薫りがする