うんめい

わたしは
大きな白い亀の上にいました
海は青く澄みわたり
空はどこまでも水色をしていました
ただ、遠くの方では
白かったり黒かったりする雲が
海の中にかみなりを落としていました

 じまんというのは
 こわいものなのです
 みのほどを こえるというのは
 こわいものなのです

亀はるうう るううと
うたっていました
わたしは空のてっぺんにあるお日様に
あついなぁ、と思いました

 落雷がおちて
 魚は 感電しますか

 そうお聞きしたら
 亀は う ふ ふ と
 笑いました

ゆっくりゆっくり
亀は進んでいきます
わたしは大きな亀の背中で
すこしねむくなったので
横に転がり
お日様に雲がかかるのをのんびりながめていました

 わたし わかったんです
 けってんというのは
 だれが だれに
 どうつげようと

 そのひとが
 これがけってんである と
 のみこまなければ

 かわったりしない

 そして そのまま
 けってんというのは
 弱点でもあるのですね

ゆう ゆう
ゆう ゆう ゆう

 けってんを
 なくすことは
 かなわない

 人はみな
 不完全です

 だけど けってんを
 わたしの欠点であると
 だきしめ うけいれたとき

弱点は強さに変わるのかもしれない

 そんな 発見をして
 少し嬉しくなって
 ひとりで うふふ と
 笑いました

亀はまるで父のように
目を細めるだけで
わたしを背中に乗せたまま
ゆっくりゆっくり
海の上を すすんでいくのでした

2011-08-07 14:16:21