花の星
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2011
小説
Year.2011
2011-12-29
20:12:27
すず
そのとき、確かに なにかがクマリと おとをたてた 竹藪のなか 真っ直ぐに空に延びる竹にかこまれ はて、と 見上げたら 真ん中のほうに 優しいお月さまがいて かけているようだったか(……)
(690文字数)
2011-12-29
13:10:40
猿
木の葉がちらちら落ちてきて それがひかりに照らされ やわらかないろをもって 湿った黒い地面に ひっそりと吸い込まれている 何処からか 響くような音がして それが、あまりに おもく、(……)
(380文字数)
2011-12-29
12:56:25
人魚
前方から まあまあとした音が流れている 暗い湿った路地 八百屋がポツリとたちすくみ 他には崩れかけた廃屋ばかり なすでも買おうかと 八百屋を覗いたら たいそう長い、白い髭のじいさんが(……)
(571文字数)
2011-12-28
21:45:20
あかはこのは
なにか 知らないけれど 汚れているようでした 提灯鮟鱇のような あかいぼんぼりが 沢山かわにながれていて はて、と おもったら それは赤く、少しひかる 牡丹のはなで 暗いチカチ(……)
(747文字数)
2011-12-28
17:40:40
いちごあめ
やわこい雨が たんたんとふっていて にごった 青緑色の池に たんたんと おちつづけている あちらに蛙のかぶりものをした人が居て そのTシャツに書かれた文字が 「べーすぼーる」だとい(……)
(992文字数)
2011-12-27
22:18:38
やもり
でんでん太鼓のしたに 小さな子がないとって 赤いべべで ないとって かけより、だきしめたら わらう どうした、いうたら なんもいわんから あんたのプライドだ 母ちゃんにも とおちゃ(……)
(559文字数)
2011-12-27
21:40:09
きざみつける
ずいぶん暗い夜だった きりきりした なにか、妙な音が 空の上のほうに 流れていて からんだり ほぐれたりしている そこいらは 真っ青に すみとおり まるで湖のようで 薄いとこ(……)
(917文字数)
2011-12-25
20:55:12
ご武運を
―― ちかごろね そういう私をみながら あなたは、にこにこしている ただ、なんのおともなく 舟はすすんでいる ぱらぱら たまに雨が降る 金色の、雨が ぱらぱら ほほに 落ち(……)
(1359文字数)
2011-12-24
17:02:10
孔雀
むぎばたけが どこまでも広がっている その真ん中に わたしは、 ぼつっと たちすくんでいる そばには だれもいなくて ただ、風だけが みょんみょんと すぎさり 次第に、ほほが(……)
(1017文字数)
2011-12-21
23:03:30
金魚、赤い花
―― あ、今って終わるんだ そう、いったら あなたは うん、そう そうなんだ きいてもないのに わかったふりして うなづいてきた とても、寒い日だった さむさが しみつくよ(……)
(1172文字数)
2011-12-20
22:52:01
亀
温かな黒いみずのなかにいて 目をつむれば なにかはらはらとした ちかちかとした ひかりが見えた もうすぐですからね そう言われたから めをひらいたら ましろい、毛のある 亀に乗っ(……)
(773文字数)
2011-12-20
09:59:16
空
あおい空の中から まるで すきとおるような しろい雪が おともなくふってくる みちぱたの かれ草 水草 つちのうえに しめったように 消えていく 雪がきえてしまうのが わからなか(……)
(813文字数)
2011-12-19
13:47:25
カメラ
きいろい砂漠のなかで らくだにのって それを案内するひとが ぽてり、ぽてりと はなすのは ピン呆けカメラで あなたをとったら ぼやけてみえて かなしかった だの 不思議な話ばかり(……)
(1731文字数)
2011-12-19
04:54:44
わたし
なんだかぺりぺりしていた 空がかけてくるように ちかちかと やけに ひかりは瞬いて あかい夕日は かたまり とけかけた 金のはちみつのようだった ーー なかみは なんにもか(……)
(1135文字数)
2011-12-18
21:34:17
雪鬼
お酒を買って帰る道 ま白い光が びゃんびゃんと通り過ぎて それがなにか うるさいようで みあげたら大きな白いガが 電灯にあつまって みゃんみゃんいう そのあかりのした うっすら光る (……)
(1431文字数)
2011-12-18
21:28:03
雨
だあだあとした 黒い黒い空を見上げていたら ひとつ 割れるような雷 とつぜん、 びいいんとはじけ その次に、大量の水が なべをさかさにしたように おちてきて その突拍子もない展開に (……)
(890文字数)
2011-12-18
09:30:40
蛇の目
ざんばらの雨は じゃんじゃんばらばらと ふりそそいでいて 青い、ふかくけむった景色に 紅と金の蛇の目の傘をかかえ たらたらと あるいていたら しろい蛇がいっぴき、でてきて おや、良い雨(……)
(580文字数)
2011-12-18
08:42:35
川の水
ふなゆらゆらと 川面のみずは うすい青色 エメラルド ひのひかり ひかり ひかり きらめいて 川の魚が さらさら 泳ぐ 冷たい水の そこのほうまで すきとおり じゃり(……)
(688文字数)
2011-12-17
17:26:12
あはは
ひとりぼっちで にんげんを あいせるなんて 最強なのよね つよくなっちゃったわ わたし なんて いったら 幸運にもね なんて 笑う そうね 幸運にも (……)
(502文字数)
2011-12-17
15:59:33
人間失格 I love you
川べりの暗い空の中で ゆっくり、雲が動いていた くものきれま、きれまに 明るい星が見えて ひどい寒さに思えた くもでうすまった空の青 くもがとぎれたら 深い、青 まるで 足場(……)
(1461文字数)
2011-12-14
20:00:23
メイ
メイは メイとつけたのが 誰だか知らないのですが それでも、気がついたら まわりのひとから メイ、メイ、と呼ばれているので 自分はメイなのだろうと 思っている 小さな少年でした (……)
(2576文字数)
2011-12-14
17:37:23
戒 癒
真白い花がたくさん咲いていて そのところどころに ぼ、ぼつ、と 赤い花が ぼってりと咲いております こまかい雪が落ちて おちて そういった花々のあいま 黒い地面に吸い込まれています (……)
(815文字数)
2011-12-14
16:44:35
雪
とても深い雪が降っていて とてもつもない 白い 白い世界に どろだらけの寒さ 痛みさえ 覚えた 私はただ ひとりきりでいて 隣に誰も居ないのは わたしが、そう 選んだからだと わ(……)
(775文字数)
2011-12-13
22:58:56
不遇
―― そう いえば 思い出したのですが 猿 が 岩の中の 穴の中 手を入れて 果実をとろうとして 手を握り締めて 穴から手が出ない その 痛みに いらだち 嘆く そう、自身の不満は (……)
(362文字数)
2011-12-13
20:21:21
ame
りき りきりきと ねじがまわるような音がして それで あめがだーっとふってきた あま、びび そういいながら ひさしのなかにとびこんだら 隣に 鬼さんが居て 美しい金色の髪と 赤(……)
(973文字数)
2011-12-13
18:00:28
タワー
―― タワー みたいな ほら 遊ぶ道具があるではないですか そういう風です ―― ある程度 たかみまでつみあがれたら こわれ 形のない あいまいな 悩みに まいぼつし そのときに (……)
(791文字数)
2011-12-13
15:06:59
子鬼
秋がすぎさり 冬が来まして わたしは木の実をひろいながら 今日は栗ご飯にしよう、と思いつつも 栗がない 何故って冬ですから、栗はもうないのですが とにかく 栗ご飯にしようと思います ひ(……)
(709文字数)
2011-12-13
14:54:48
虎歌
まくろい渦の中に こまかいきらきらとした白い光がみえ それが笑いながらすわれているので あれはなんですか、と きいたら 虎はうすうすわらいながら あれは、くらげです そういう そら(……)
(1414文字数)
2011-12-12
21:52:19
とかげへびはな
これはトカゲ蛇花といいます そう、幾重にも 白い花びら 重ねて咲いた花を指さして あなたはいう うそ、 っていったら うん 嘘です なんていう ―― わたし 嘆いては いな(……)
(517文字数)
2011-12-12
20:38:56
夜
ただ、まっくらくの夜の空に 光ざわめく星くずが、 ちかちか ちかりと たくさん たくさん またたいておりました 貴方とふたりぽっちで なんにも話すことがなくて だのに 胸がひどく あ(……)
(637文字数)
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