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2011
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流れ星
ざあざあと滝が流れ
落ちた先から流れの速い
それでもすんだ川になり
どうどうとまた、
水おしあげるように
大量に先に先にと、流れておりました
みどりいろの美しいこけに
石石はしっとりかこまれ
私はそのそばに立っておりました
遠くのエメラルドグリーンの空に
小さな鷹が何匹か、とびかっていて
ケーんケーんと
ないておりました
あのね
わたしね
生きることが
大好きです
それでね
わたしね
なにをいいたいか
とてもいいたかったのに
それでも
忘れてしまいました
あなたは笑って
ただ私を見ていらっしゃいます
すこし気恥ずかしくなって
川を見たら一匹の白い魚が
なにをおもったのか
どうどうと流れる川にさからい
滝をのぼりはじめました
お、すごい すごい お
わたしが手を叩くと
あなたははじめて
口を開いて
なにかをおっしゃったけれど
滝の音がおおきくて
私には聞こえなかった
それが、さびしくて
ふりかえったら
また、微笑まれて
ああ、 話ではなくて
あなたのいてくださることの
どうして大切だろう
と、思いました
私は傍にさいていた
小さな白い花を見て
滝を登る鯉は
もう、先についたようです
わたしね
わたし、いまからこえたいの
そう、お伝えしたら
それが君の意思なら
君はこえられるだろうと
いわれました
わたしはもっと
ひとも、自分も
大切にしたい
太陽は中ぐらいにかかり
空はどこまでも青い
すきとおった青
そのはしっこが
青緑
きれいですね
人を、認められない人は
認められない不遇を
人を、嫌う人は
嫌う不遇を
馬鹿にする人は
馬鹿にする不遇を
いつも、己の因果が己にかえり
己が背負った醜悪は
かならず、自身にかえっております
気がつかなくても、気がついていても。
人につらくあたる人は、
つらくあたる不遇を
人の醜さを見る人は
醜さを見る不遇を
自分ばかり逃す人は
自分ばかり逃す不遇を
かかえております
よく ごらんなさい
誤解は誤解でなければ立ち消え
悪意敵意は
私のものではないのですから
触らなければ
その方に、かえります
わかっているのに
できない
できないのが
問題で
わかっているのに
わたしには できないのです
わたしは、ここから こえたいのです
一匹の鳥が
手先にとまってきましたので
ちゅうちゅうぱっぱとさえずって
飛ばしました
そしたら白い白い大きな鳥になり
ひとこえ
ケーんと叫んで
たかく、たかく
飛んでいきました
レコードに傷がついたように
あるひとつのぶぶんで
えん、えんと
思い出す記憶 思い あるいは
そこでつまづく ことがあって
それは、どうやったら
また 鳴りはじめるのだろう
いつか、人々がみな
自分ではなくて
人を思いやることの喜びを
わかればいい
自分ばかり思いやる不遇に
気づけば良い
空の真ん中から
す、っと
小さな綺麗な流れ星がおちて
私は胸の中で三回
願いをとなえました
その願いは秘密です。
Series :
短編
Tag:
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2011-11-05
21:48:24
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落ちた先から流れの速い
それでもすんだ川になり
どうどうとまた、
水おしあげるように
大量に先に先にと、流れておりました
みどりいろの美しいこけに
石石はしっとりかこまれ
私はそのそばに立っておりました
遠くのエメラルドグリーンの空に
小さな鷹が何匹か、とびかっていて
ケーんケーんと
ないておりました
あのね
わたしね
生きることが
大好きです
それでね
わたしね
なにをいいたいか
とてもいいたかったのに
それでも
忘れてしまいました
あなたは笑って
ただ私を見ていらっしゃいます
すこし気恥ずかしくなって
川を見たら一匹の白い魚が
なにをおもったのか
どうどうと流れる川にさからい
滝をのぼりはじめました
お、すごい すごい お
わたしが手を叩くと
あなたははじめて
口を開いて
なにかをおっしゃったけれど
滝の音がおおきくて
私には聞こえなかった
それが、さびしくて
ふりかえったら
また、微笑まれて
ああ、 話ではなくて
あなたのいてくださることの
どうして大切だろう
と、思いました
私は傍にさいていた
小さな白い花を見て
滝を登る鯉は
もう、先についたようです
わたしね
わたし、いまからこえたいの
そう、お伝えしたら
それが君の意思なら
君はこえられるだろうと
いわれました
わたしはもっと
ひとも、自分も
大切にしたい
太陽は中ぐらいにかかり
空はどこまでも青い
すきとおった青
そのはしっこが
青緑
きれいですね
人を、認められない人は
認められない不遇を
人を、嫌う人は
嫌う不遇を
馬鹿にする人は
馬鹿にする不遇を
いつも、己の因果が己にかえり
己が背負った醜悪は
かならず、自身にかえっております
気がつかなくても、気がついていても。
人につらくあたる人は、
つらくあたる不遇を
人の醜さを見る人は
醜さを見る不遇を
自分ばかり逃す人は
自分ばかり逃す不遇を
かかえております
よく ごらんなさい
誤解は誤解でなければ立ち消え
悪意敵意は
私のものではないのですから
触らなければ
その方に、かえります
わかっているのに
できない
できないのが
問題で
わかっているのに
わたしには できないのです
わたしは、ここから こえたいのです
一匹の鳥が
手先にとまってきましたので
ちゅうちゅうぱっぱとさえずって
飛ばしました
そしたら白い白い大きな鳥になり
ひとこえ
ケーんと叫んで
たかく、たかく
飛んでいきました
レコードに傷がついたように
あるひとつのぶぶんで
えん、えんと
思い出す記憶 思い あるいは
そこでつまづく ことがあって
それは、どうやったら
また 鳴りはじめるのだろう
いつか、人々がみな
自分ではなくて
人を思いやることの喜びを
わかればいい
自分ばかり思いやる不遇に
気づけば良い
空の真ん中から
す、っと
小さな綺麗な流れ星がおちて
私は胸の中で三回
願いをとなえました
その願いは秘密です。