花の星
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2011
> 金魚、赤い花
金魚、赤い花
―― あ、今って終わるんだ
そう、いったら
あなたは
うん、そう
そうなんだ
きいてもないのに
わかったふりして
うなづいてきた
とても、寒い日だった
さむさが
しみつくようで
痛かった
―― いまが
ずっと
つづくなんて
なくて
あしたは
いまの続きでは
なくて
あたらしい いまなんだよね
たくさんの星が
青を、色濃くしたような空に
またたいていて、
すこし
いろのいい月が
また、ひかんひかん
てっぺんにあって
そこかしこに
たくさんの
濃い青緑の木々がはえ
その木々にまた たくさんの、
赤や、黄色
しろや、ももいろの
いろ濃い花が
咲いている
地面はしもばしらができて
あるくたびに
さくさくいった
あなたは
私の傍に居て
金色のオールが
流れてきたとか
オールと思ったら
にわとりだったとか
にわとりとおもったら
へんてこな卵だったとか
変なことばかり、いう
空に金魚が飛んでいる
そういうから
空を見上げても
どこにも、金魚は居ない
―― いないじゃない
―― いるさ
―― みえない
―― いるんだよ
貴方は月を指して笑う
―― いま、したのほうにいるよ
きんいろのつきに
赤い金魚が
ゆらゆら
ゆれているよ
おなじものが
みえていたら
しあわせだったんでしょうか
おなじものを、みたいと思う
おなじことを
かんがえ
おなじことを
思いたいと おもう
そして、へだてりと
たくさんの ちがいを
おもい
また、それでも
それでも
ひとしいから
すきになるわけじゃ
ない
わたしのために いられない あなたと
あなたのために いられない わたしが
なんとなく かなしいし うれしい
ためには
いられないのに
ともにいたいとおもい
いまは ただ 一時
大切だと思う
ちがうのに
おもいあえる
またたきのような
いっしゅん
いとしさ
そう、いったら
あなたはなにもいわないで
うれしそうに
微笑むから
うれしかった
空のほうから
ちいさなうたが
聞こえ
すこし耳を傾ける
ぱち ぱち
ぱち ぱち
きん きら きん
蜘蛛の巣に
銀色のたまがついて
それが
蜘蛛と戯れている
赤い、狂い咲いた薔薇が
あおじろい月明かりに
ぼおっとひかり
おおきめの蛾が
ばちばちいいながら
あかりのほうへ
あかりのほうへ
たくさんたくさん
飛ぼうとしている
Series :
短編
Tag:
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2011-12-21
23:03:30
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そう、いったら
あなたは
うん、そう
そうなんだ
きいてもないのに
わかったふりして
うなづいてきた
とても、寒い日だった
さむさが
しみつくようで
痛かった
―― いまが
ずっと
つづくなんて
なくて
あしたは
いまの続きでは
なくて
あたらしい いまなんだよね
たくさんの星が
青を、色濃くしたような空に
またたいていて、
すこし
いろのいい月が
また、ひかんひかん
てっぺんにあって
そこかしこに
たくさんの
濃い青緑の木々がはえ
その木々にまた たくさんの、
赤や、黄色
しろや、ももいろの
いろ濃い花が
咲いている
地面はしもばしらができて
あるくたびに
さくさくいった
あなたは
私の傍に居て
金色のオールが
流れてきたとか
オールと思ったら
にわとりだったとか
にわとりとおもったら
へんてこな卵だったとか
変なことばかり、いう
空に金魚が飛んでいる
そういうから
空を見上げても
どこにも、金魚は居ない
―― いないじゃない
―― いるさ
―― みえない
―― いるんだよ
貴方は月を指して笑う
―― いま、したのほうにいるよ
きんいろのつきに
赤い金魚が
ゆらゆら
ゆれているよ
おなじものが
みえていたら
しあわせだったんでしょうか
おなじものを、みたいと思う
おなじことを
かんがえ
おなじことを
思いたいと おもう
そして、へだてりと
たくさんの ちがいを
おもい
また、それでも
それでも
ひとしいから
すきになるわけじゃ
ない
わたしのために いられない あなたと
あなたのために いられない わたしが
なんとなく かなしいし うれしい
ためには
いられないのに
ともにいたいとおもい
いまは ただ 一時
大切だと思う
ちがうのに
おもいあえる
またたきのような
いっしゅん
いとしさ
そう、いったら
あなたはなにもいわないで
うれしそうに
微笑むから
うれしかった
空のほうから
ちいさなうたが
聞こえ
すこし耳を傾ける
ぱち ぱち
ぱち ぱち
きん きら きん
蜘蛛の巣に
銀色のたまがついて
それが
蜘蛛と戯れている
赤い、狂い咲いた薔薇が
あおじろい月明かりに
ぼおっとひかり
おおきめの蛾が
ばちばちいいながら
あかりのほうへ
あかりのほうへ
たくさんたくさん
飛ぼうとしている