るだ

ぐう
ぐうでん
でん
ぐうでん
そういう
音が、たくさんひびいていて
まくろく
ただ、ひたすら黒い
うえも
したも
ひだりも、みぎも
わからない
身がきれるような
寒い中

ゆっくり
ぼたんゆきが
おちてくる

その雪のおかげで
上は上と
わかる

白い、白い
すこし、くずれかけた雪たちは
風にのまれながら
ゆっくり、ゆっくり
まわりに、とけこんでいく

赤と、金色の柱の前に
ただ、立ちすくんでいて
その、そばに
黒い木のなか
赤い花が
さきみだれている
みょうなにおい

そこに、にひきのつがいがいて
それが、なにかをいう

どこへ いくきだ

それで
わたしは
おつたえする
ああ、とうりゃんせのようだ
そう、おもう

この手の中の、オを
おさめにまいります


その、にひきのつがいは
背中に真金色の毛が
ふさふさとはえていて
牙が、うつくしいほど
するどく
それで、私に言う

まるで、猫のような目が
うっすらと
ほそまる

それは まぼろし
おまえの オは
おまえであるから
もどりなさい

そう、いわれて
ふ、と
目を上げたら
摩天楼のような
ビル、ビルの合間に
たちすくんでいる

すざまじく寒い風が
ぼお、ぼおと
ふいて
そろそろ、こみあうころの
夕暮れだというのに
だれもいない

がらんとしたビルの中

いっぴきの獣が
まえからせまってきて
それが、私をのみながら
またとおりすぎ
ふりかえれば
それは、私にむかって
わらっていた

お面をつけいたから
こまかいことは
わからなかったが
たしかに
獣のようだと思う

 わたしはもう できないのでしょうか

そう きいたら

 みちは あなたの心にそって
 ひらかれますから

そう いわれる

ぼう ぼう と
大きな風が吹いて
一瞬の、すなふぶきに
目をつむり
また、あけたら
そこは、ただのビル街

金色の夕陽が
とけこむように
ビルの合間にひかりこんで
しかし、光ばかりで
その太陽が
どこに沈んでいるのかは
わからなかった
2012-01-08 18:46:50