白い恐竜

真っ白い布にひとはり
ほつれないよう、ひとはり
誕生日になにがほしいと聞いたら
真白い恐竜のぬいぐるみといわれて
茶色い小さな縫い目で目をつけて
ひとはり
白い恐竜のぬいぐるみをつくった

あ、おっぱいつけてよ
床に転がっていた彼女がさけぶ
お、おっぱい?
そうききかえしたら
しらないの、おっぱいの力が
いま、見直されているのよ
アロンアルファみたいな涙がでて
安心するのよ
ええ、嘘でしょう
そう聞いたら
うん、嘘
笑っていう

恐竜のおっぱいって
いくつかな
考えて4つ、腹につくって
桃色の糸をつける

それを見ていた彼女がいう
恐竜ってね、
わかってないんだよ
沢山、わかってないの
最初ね、尾てい骨の骨なんて
でっかい金玉だと思われたのよ
くすくすわらう

外はしずかに雨が降っていて
たまにどこにいるのか
鳥の鳴き声がする

見つかった恐竜
決してすべてはわからない
私たち
発掘されたら
友達だったって
分かるかな

さあ

雨が上がりかけている
窓越しに見える空は
青白く、灰色じみて
たゆんでいる


……イチゴ、食べよう
呟くようにいいながら
彼女は立ち上がる

最後のひとはりを縫い終え
見上げたら雨はやみ
満月だった

たーのしーじゅもんで
愉快な仲間がスッポンポン!
そう歌う彼女の声を
聞いていた
2012-02-06 21:56:41