花の星
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小説
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2012
> はい、オッケー
はい、オッケー
いつんなったら
ばかにされてないって
わかるんかな
ばかになんか
されてないって
こころに
わかるんかな……
いつになったら
自分をあざける自分に
自分をみくだして
きらうじぶんに
わかれを告げられるんだろう
:
あかいあかいぼたっとした花がさいている
きんいろの真ん中の花弁
くもりのち、雨の日
みずいろのなかでみる赤色のはな
ちいさな水槽にゆらぐ
金魚みたい
いつんなったら
ばかにされないんで
すむんかなあ……
りょうしゃさんがいう
りょうしゃさんは
ふつうのにじゅう七歳で
ふつうのOLで
わたしがムカつくんだって
だってあんた
いつも、わらってんだもん……
りょうしゃさんの話は
いつも、説教くさい
しってんだ
りょうしゃさん、
自分のこと
きらいなんだ
いつんなったら
ばかにされないで
すむんかなあ……
また、りょうしゃさんがいう
ぼつ。と
まるで赤色のぼたっとした花みたいに
ぼつ。と
いつものカエリミチ
仕事がえりのわたしたち
ながいカエリミチ
あたしはりょうしゃさんの手のひらをにぎる
わらったら
りょうしゃさんはたいへんおどろいて
よしてよ、きもちわるい、っていう
そう?
そう思いながら
そうかな、
そう思いながら
りょうしゃさんが
ばかにしてんの
りょうしゃさんだもの
だれもバカになんか
していないのに
そういったら
きゅうに、鼻がつんとして
そら、みあげた
あおいあおい
煙る雨空
わたし
いつんなったら
ばかにされなく
なるんかな
わたし
いつんなったら
……
雨のなか
いまはもう
みかけなくなった
電話ボックスに遭遇する
それが青くけむりながら
発光している
りょうしゃさん
しっている
あのでんわ
かけずに受話器をもちあげると
つながるんだよ
……どこに?
もしもし星
もしもしって
宇宙人がいて
ザーザーいうよ
りょうしゃさんが笑う
すこし、なんだか
壊れたようなほほえみで
りょうしゃさん
いつか
自分を
ばかにする
自分の暗がり
手を、切れると
いい
いつもいつも
自分がきらいで
どうして
わたし、不幸なまんまなんだ
なんて
はなして
りょうしゃさん
嫌いな人を幸せにしたいとあなたは思えるの
りょうしゃさん
きっと
りょうしゃさんを
みとめない影法師
みとめられたい残骸が
りょうしゃさんの
なかにいる
だってりょうしゃさん
あんた
絶対、否定するけれど
わたしたちは
にている
ブーぅばしゃあと
白いヘッドライトをつけて
車が前をすぎさる
わきによったわたしたちは
ういーと嫌な顔をする
どろがはねた
りょうしゃさんが
わたしを見てわらう
こんどは本当にわらってる
わたしもわらう
あのね、もしもし星に
つながるからね
あの、電話ボックス
おまじないしよ
おまじない……?
こうやるの
オッケーオッケー
そんなふうに
頭のうえで腕をまるにして
うねると
りょうしゃさんが
ぶはっとふきだした
なんだそれ!!
オッケーオッケー
はい、オッケー
よせ、よせ
くるしいよ!
ぶはは
青いあおいあめのなか
どうして空はくもっているのに
雨の日、けむるまちは
あおくみえるの
いつか
みとめられたかった
わかってほしかった
自分を
ゆるせると
いい
わらいながら
さんべんてのひらでまるかいて
オッケーオッケー
はい、オッケー
りょうしゃさん
りょうしゃさん
もしもし星に
祈ります
祈ります
もしも
幸せになれるなら
なんでもしよう
それが
もしも
愛することなら
いとわない
もしも
幸せになれるなら
なんでもしよう
なら、どうか
自分の人生を
慈しんでください
たいせつに
してください
なんでもすると
いえるなら
やさしくなれない
よわさを抱え
うとんできた
なにもかも
わからないまま
自分にながされ
流されるままに
うらんできた
自分も
ひとも
だだばかり
こねて こねて
なげいてた
たいせつに
できるなら
オッケーオッケー
はい、オッケー
わらいながら
わらいながら
明日も、私の足を
わたしがひっぱって
あなたのきもちを
あなたがかげらせ
自分に自分が
くるしむよ
だから
オッケー
オッケー
はい、オッケー
Series :
中編
Tag:
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2012-03-29
20:58:50
花の星
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小説
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2012
> はい、オッケー
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ばかにされてないって
わかるんかな
ばかになんか
されてないって
こころに
わかるんかな……
いつになったら
自分をあざける自分に
自分をみくだして
きらうじぶんに
わかれを告げられるんだろう
:
あかいあかいぼたっとした花がさいている
きんいろの真ん中の花弁
くもりのち、雨の日
みずいろのなかでみる赤色のはな
ちいさな水槽にゆらぐ
金魚みたい
いつんなったら
ばかにされないんで
すむんかなあ……
りょうしゃさんがいう
りょうしゃさんは
ふつうのにじゅう七歳で
ふつうのOLで
わたしがムカつくんだって
だってあんた
いつも、わらってんだもん……
りょうしゃさんの話は
いつも、説教くさい
しってんだ
りょうしゃさん、
自分のこと
きらいなんだ
いつんなったら
ばかにされないで
すむんかなあ……
また、りょうしゃさんがいう
ぼつ。と
まるで赤色のぼたっとした花みたいに
ぼつ。と
いつものカエリミチ
仕事がえりのわたしたち
ながいカエリミチ
あたしはりょうしゃさんの手のひらをにぎる
わらったら
りょうしゃさんはたいへんおどろいて
よしてよ、きもちわるい、っていう
そう?
そう思いながら
そうかな、
そう思いながら
りょうしゃさんが
ばかにしてんの
りょうしゃさんだもの
だれもバカになんか
していないのに
そういったら
きゅうに、鼻がつんとして
そら、みあげた
あおいあおい
煙る雨空
わたし
いつんなったら
ばかにされなく
なるんかな
わたし
いつんなったら
……
雨のなか
いまはもう
みかけなくなった
電話ボックスに遭遇する
それが青くけむりながら
発光している
りょうしゃさん
しっている
あのでんわ
かけずに受話器をもちあげると
つながるんだよ
……どこに?
もしもし星
もしもしって
宇宙人がいて
ザーザーいうよ
りょうしゃさんが笑う
すこし、なんだか
壊れたようなほほえみで
りょうしゃさん
いつか
自分を
ばかにする
自分の暗がり
手を、切れると
いい
いつもいつも
自分がきらいで
どうして
わたし、不幸なまんまなんだ
なんて
はなして
りょうしゃさん
嫌いな人を幸せにしたいとあなたは思えるの
りょうしゃさん
きっと
りょうしゃさんを
みとめない影法師
みとめられたい残骸が
りょうしゃさんの
なかにいる
だってりょうしゃさん
あんた
絶対、否定するけれど
わたしたちは
にている
ブーぅばしゃあと
白いヘッドライトをつけて
車が前をすぎさる
わきによったわたしたちは
ういーと嫌な顔をする
どろがはねた
りょうしゃさんが
わたしを見てわらう
こんどは本当にわらってる
わたしもわらう
あのね、もしもし星に
つながるからね
あの、電話ボックス
おまじないしよ
おまじない……?
こうやるの
オッケーオッケー
そんなふうに
頭のうえで腕をまるにして
うねると
りょうしゃさんが
ぶはっとふきだした
なんだそれ!!
オッケーオッケー
はい、オッケー
よせ、よせ
くるしいよ!
ぶはは
青いあおいあめのなか
どうして空はくもっているのに
雨の日、けむるまちは
あおくみえるの
いつか
みとめられたかった
わかってほしかった
自分を
ゆるせると
いい
わらいながら
さんべんてのひらでまるかいて
オッケーオッケー
はい、オッケー
りょうしゃさん
りょうしゃさん
もしもし星に
祈ります
祈ります
もしも
幸せになれるなら
なんでもしよう
それが
もしも
愛することなら
いとわない
もしも
幸せになれるなら
なんでもしよう
なら、どうか
自分の人生を
慈しんでください
たいせつに
してください
なんでもすると
いえるなら
やさしくなれない
よわさを抱え
うとんできた
なにもかも
わからないまま
自分にながされ
流されるままに
うらんできた
自分も
ひとも
だだばかり
こねて こねて
なげいてた
たいせつに
できるなら
オッケーオッケー
はい、オッケー
わらいながら
わらいながら
明日も、私の足を
わたしがひっぱって
あなたのきもちを
あなたがかげらせ
自分に自分が
くるしむよ
だから
オッケー
オッケー
はい、オッケー