さかな

つきあかりのあかりだまりは
うす金のおだやかな色合いで
そこには目に見えない
あかとあおのさかなが
二つ泳いでいました


あかのさかなが
ほおあ、あお、あお
となきますと
あおのさかなが
そうでもないさ、と
つぶやきます

ほうあ、あおあお

そうさうさうさ

純銀の白い糸を
あみこんでつくったような
ふんわりとした花が
まるできょうのお月さまは
まゆるくてあたたかい
空もあおくあおく
ふかくすんだ群青
みずうみのようだな、
と、思います

ほうあ、あお
あお、おおう
いお、おお

あかのさかながいいます

うん
うん

あおのさかながこたえ
そうすると
月の方から
ふんわりしたきれいな
光がおりてきて
おまちでしたか
どうぞ、いらしてください
そう魚のにひきにいいました

あかのさかなはすこし
だだでもこねるように
ふんあ、ふんあ
といいましたが
あおのさかなは
いいさ、それでいいさ

そういうのです
そうして
きんいろの光の中に
二つの魚はきゅっとすぼんで
それをみていた花は
なぜかすこし拍手したくなりました

ふんあ
ふあ
ふあん
ふあ

あかのさかなのこえが
歌声のように響き
空のうえのほうから
まだ、町中に
ながれているようでした
2012-07-23 10:00:00