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短編[Year.2012]

2012

2012-01-23 15:21:06 your
幼かったころ 沢山の答えを 沢山の人がくれた それは、いまでも うみでゆらぐ、骨のないくらげのように 外側にくっついる 悪いなんて思えないし 好きじゃないなんて いえないけれど (……)
(664文字数)

2012-01-22 18:04:58 そろそろ、こえようか
いってはいけない だから いわずにきた思いは シーラカンスのように 死にもせず 進化もせず 死海の底で ゆらゆらゆれている : 月をしばらくみて 寒いなぁ、と思う もう、寝(……)
(1365文字数)

2012-01-21 16:28:22 いたい いたいの
きずあとに てをおいて いたいいたいの とんでけなんて はずかしいから 布団にもぐって ただ内緒で こころのなかで 朝になれば 痛みは消える いたい いたいの とんでけ いたい (……)
(1459文字数)

2012-01-21 12:18:00 波の音
―― だいっきらいだったんだ じぶん  イヤだイヤだなんていいながら  解決も出来ない 何度も思い返す  嫌な思い出 ―― もう、こころは許しているのに  記憶が許してくれない 波(……)
(646文字数)

2012-01-19 21:54:04 テルテル
うそつき、というから 何が嘘かと思う 部屋はしっちゃかめっちゃかで なにもかもが 彼女の頭とシンクロしているように ごったんごったん 次々飛んでくる テッシュだの、猫のぬいぐるみだの(……)
(634文字数)

2012-01-19 21:33:13 くぬらのおう
くぬらのおうが 話すには あの人は 愛されたいと願いながら 愛せないようだった 目の前にいた黒猫は くぬらの王に言う くぬら、彼ら人らは 愛されたいと願いながら 愛せないので(……)
(596文字数)

2012-01-19 17:01:47 雨
ひどく奇妙なもので おおきなおおきな鐘の音が ぐわん、ぐわんと鳴り響いている どこから聞こえるのか、どうしてなっているのか よくわからないが あまりに響く音なので あたまがぐらぐらする (……)
(855文字数)

2012-01-18 21:58:05 白い鳥と海
ひどく静かな砂浜に彼はいる 空はなぜか薄明かるい こまかいたくさんの星が ちかり、ちかりと 瞬いている 海はおだやかで 深い青みをおびている くらい波間に ゆらゆらゆらめく 橙色(……)
(805文字数)

2012-01-17 22:25:51 鳥
うすべにの ただ、紅く いろづくつばきに 優しさの金色 紅いかんざしをくださいましたから それを髪にさして あなたに、あいにいこうかと 夜道をでましたら なにか、白いとりがいて (……)
(602文字数)

2012-01-17 22:14:19 蛙
ひり、ひりひりとした なにか、あさく 耳が震えるようなおとがして みあげたら 真っ赤な天に赤黒い鳥がたくさん、たくさんとんでいて 怖い、と、思う 祈るような気持ちになりながら 胸のな(……)
(822文字数)

2012-01-17 10:43:02 アパート
なにが 敵かといえば うぬぼれという 恋文をもらったのは 17ぐらいの時で あまり深く 考えもしないで 付き合った : ―― こけがはえていますね ―― 世辞を言う(……)
(1352文字数)

2012-01-16 10:00:00 白い獣
青いすんだ湖のほとりで 白い獣はりんごをとりにきた 落ちているりんご やわらかい甘い おいしいの そう思いながら ふんふん、かいでいると おんなの人がいて それが、獣を見ている(……)
(1010文字数)

2012-01-15 00:16:10 夜更け
ふ、と、起きると まだ、夜更けのようでした 物静かな闇のなか ちく、たく、ちく、たくと 時計の音がします なにかつまらなくて 天井のしわを数えていましたが 少しして、あきて 障(……)
(591文字数)

2012-01-12 12:15:21 雨の上
たくさんの雨が降り 地は青鈍く濁る たくさんの雨は たくさんの音をたてて たくさんの地を わずかにふるわし たくさんの雨がふる 隣に大きなおにがいて それが、柔らかな腰布ひとつで (……)
(627文字数)

2012-01-11 19:22:29 ペニシリン
きょうは あたまがいたくて たくさんの ペニシリンが ひつようだった ペニシリンは 赤猫の名前で 頭が痛い時は 私の傍にいてくれる たくさんの ペニシリン というのは たく(……)
(590文字数)

2012-01-11 16:53:13 サンショウウオ
かわべりで 川に足を浸していた 隣に、サンショウウオさんがいて 彼は、ちゃいろいあたたかな石の上 お茶を飲みながら ひといき、ひといき ついている きゅうくつですねぇ なんて い(……)
(633文字数)

2012-01-10 15:51:52 霧雨
落日 夕陽の音を きいたことが きみはあるかい あれはね おおきなものだから しずむ たびに とてもひどい おおきなおとを たてる かなだいが たくさん なりひびく そんな 音(……)
(579文字数)

2012-01-08 19:11:43 さくらつき
桜色の月は うっすらと、たちのぼり 青めいた月光を ただ、こちらに なげかけていた そしたら くもが、すべてを つつんでしまう  さむいひは  すこし、かなしいですね そう(……)
(540文字数)

2012-01-08 18:46:50 るだ
ぐう ぐうでん でん ぐうでん そういう 音が、たくさんひびいていて まくろく ただ、ひたすら黒い うえも したも ひだりも、みぎも わからない 身がきれるような 寒い中 (……)
(974文字数)

2012-01-08 13:04:38 赤の金魚
れうれうとしたたりおちる あかい、しずくのつながりのなかに 金魚がたくさん 泳いでいる 背鰭が、金色で ゆなゆうゆうと いろはためく どうしたろう、と きづけば 鍾乳洞の様なところ(……)
(900文字数)

2012-01-03 13:51:33 no title
真っ赤なお手玉をかぞえあそぶ あの方をみていた 白魚のような手のひらは ただ、おてだまを あげては、つかみ、 あげては、つかむ あなたは、わらう なんにもいわない 私も、わらう(……)
(561文字数)

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