ミヒャイルさん著作の
「モモ」という小説
不思議な国のアリス
鏡の国のアリス
「星の王子さま」
こうしたものが
いまだに、なにかのおりに
ふれてくる

モモにはふたりの男性が出てくる
ひとりは掃除夫
ひとりは話好きの陽気な青年

灰色の男という
時間をぬすむものがあらわれ
モモが行方不明になったとき

陽気な青年には地位があたえられた
物語を話すという、地位を

そうして人たちは
青年のはなしを求めはじめた

青年が
どんな話をしても
泥の中に水を落とすように
かれらは何一つ満足せずに
欲しつづける

ためこんでいたものがたりを
話しつくした青年は
欲求をまえに、あせり
とうとう、
モモとかわした
大切な秘密の話をしてしまう

しかし
彼らはやはりなんのこともなく
態度も行為もかわりなく
ただ拍手喝采と金をあびせて、
青年にはなしをつづけるのを
欲求しつづけていく

……

話さないとならないことは
ひとつもない

私は、私のものにも
ひとのものにも
欲求には、あわせない

だれのものも
欲求は、底の抜けた穴に過ぎず
なにをあたえたところで
満足など、永劫にない

……

伝えたいとき
つたえたいことを
己をつくして
あらわしてみる

とても、うまくはいかない
伝わらないし
表現できない
だから
また、やってみる
Series.日々徒然
「モモ」