忌まわし坊主

歩いていたら
赤と青を彩りながら
やわらかなほむらが
たら、だら、どら
と、電信柱の横に
やわらかに
おどっていた

ひとりのひとが
そこの前に座って
炙られるように
笑っている
よくみると
お坊様だ

ー忌まわしい、と、思う
忌まわしのお坊様だ

笑っている

笑いながら
わたしにいう
愚者は愚者だから
ぐしゃぐしゃになる?

ほむらは
たうたうと
たうたうと
まきあがる

愚者だから
おつるのではない
放棄者だから
おつるのだろう

お坊様のまえのほむら
よくみたら
小さなひとが、たくさん
もえていた
手をうえにあげ
唖然とも苦悶とも
つかない顔をして
黒焦げに
たうたうと
たうたうと

『われこそはと
おもうものは
つづけ!!』

『ただしさのしもべとなれ!』

叫び声がする
右から黒い馬にのったおとこが
ひどく走りながら
ほむらにとびこんだ
いびつにわらいながら
馬のおおぎょうな音

そのあとを、わぁわぁ、わぁと
ひとの群れが拳をふりあげながら
なだれこみ
とびこんだ、ほむらに
なにがしかもわからない
かれらの叫ぶシュプレヒコールが
空気にまう

『あなたがたは
真実をしった
真実をしっている』

『つづきなさい
真実のいきかたに』

柔和な声がした
左から
やわらかな色彩をおびた
女がくる
柔和な微笑みを浮かべ
ゆっくり、おだやかに
ほむらに足をいれ
さくさくと、はいっていった

そのうしろを
生真面目そうな顔をした人の群れが
うん、うん、
ああ、うん、と
話し合いながら
意見をかわしながら
ゆっくり、つづいて
ほむらに、はいっていった

お坊様が、笑う
笑うたびに
ほむらが火をふきあげる
ごう、ごう
ごう、ごう
ひとたちが燃えていく

さて、そろそろ
いくかな、と
かれがいった
とたんに
炎はたたまれるように
消えた

これでもわたしは祝福のものなのです
あなたが、あなたで
ありつづけることを

ちりん、と
小さな鈴を、ひとつ、鳴らされた
2016-08-31 17:56:03