花の星
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エッセイ
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てんてこ
てんてこ ( Year2013 )
さいきん、変なゆめをよくみる
パンツをかぶったオカマが
「あたしっまけない!!あんたみたいな人には!」と
さけびつつ、こん棒で殴りかかってきた、と
おもいきや、
坂を滑り落ちていったりする
2013-09-20 00:00:00
英単語のスキンヘッドは
直訳する肌アタマで
たぶん、肌むきだしの頭、という意味だと思う
日本語のはげ、はげあたまと
なんらかわりなく、ひどい
2013-08-18 00:00:00
目をつむると
本当によく
土偶に似ているって
いわれた
2013-08-17 00:00:00
「お坊さんの頭に虹がかかったってね」
「レインボウ」
2013-08-17 00:00:00
なんにも考えずに
てきとーに
編み物していたら
もようが、どうみても、
宇宙人の顔にみえるセーターができた
2013-08-15 00:00:00
死に際には
死に際には
おんがえしが行われます
恩と怨、どちらもです
恩返し
怨返し
……どちらがおおいじんせいでしょうね
そう、しわくちゃな老婆がいう
いつからそばにいたのだろう
雨上がりの公園は
すべてが湿りきって
くらがるまえの
紫のけしきに
ぼやけた照明が
ひかりをおとしている
……
人の価値ははかれませんから
単純な計算をつかいます
出会った人の数、割る
よろこばせた深さ、引く
苦しませた深さ……
ゼロもあるでしょうし
マイナスもあるでしょう
老婆はてとてをあわせる
きれいな瑪瑙のゆびわが
あかく、ひかっている
うろこのおおい、とかげの
瞳のようだ
死に際には
おんがえしが行われるんだそうです
わたしからも、あなたからもです
うらまれたかず
にくまれたかず
よろこばれたかず
こうふくに、おもえたかず
……
老婆のめに
なみだがひかる
あおい、あおいひとみ
こうして、てのひらをあわせて
祈るんです
どうしようも、ありませんから
……
死に際には
嘘がつけなくなります
自分についたうそも
人についたうそも
どんな嘘も
きえはてて
どんな嘘も
つけなくなって
ねぇ、あなたは
自分についた嘘と
人についた嘘と
どちらが、ふかい?
急に老婆はわたしをみる
あおい、なにも浮かんでいない瞳
おそろしい、と
すこし、かんじる
答えを待たないまま
老婆はまた、話始める
……おんかえし
嘘のつけないまま
きっと、だれもが
いたみをかんじ
そうして、それぞれの
自分の重さを、感じるのでしょう
2013-04-02 00:00:00
猫と手ぬぐい
おだやかで、あたたかな日差し
それなのに空気が湿って
まごついたように
雨が、たすり、たすりと
たまに落ちては
あたりをかすかにぬらしている
縫いかけのてぬぐい
少し疲れてひざにおいて
窓へふりむいたら、いつの間にいたのか
黒い猫と目が合った
私が急に振り向いたから
おどろいたのか、小さな口をあけて
声もなく鳴く
「おや、おまえどこのこ」といいかけて
ふっと、思う
猫してはすこし大きい
いいや、大分大きい
オオカミのように大きい
金色の、澄んだ目
てぬぐいひとつほしい
猫が言ったのか、それとも雨音のそらみみか
てぬぐいほしい、と
また聞こえる
「ううん、おかしなこともあったものだね」
どうせ、と捨てる予定だった服さいたら
思ったよりつくりあがった
手ぬぐい
ふたつもみっつもあるんだ、かまわないだろうと
ひとつつかんでほうったら
口でうまいこと咥える
ありがとう
やはり少し、おかしいような気がする
窓は半分閉じかけていて
その先のあみどはきちんと閉じている
猫はどこから入ってきたのか
毛並みをひとつふたつぶるぶるふるわせて
澄んだ目をにょんまりまげて
ありがとう、と
また、そらみみのような声で言う
やはりおまえがいっているのか
聞こうとしたら
あみどのわずかな隙間から、
すいこまれるようにして
出て行った
窓が、ほんのわずか
音をならすように、揺れた
てぬぐい、いいんだ
こういうひには
目をしばたけば
肩がゆっくりあがりさがり
立ち去る獣の後姿、
その頭にかわいらしく
白い手ぬぐいをかぶっている
雨が降る前に
てぬぐい、ほしかった
ぼうっとしていて、
は、と気づく
洗濯物、いれなきゃね……
雨が降る前に
縫いかけのてぬぐいと針
裁縫箱しまって
たとたと二階にかけあがる
空はだいぶぐずついている
雨音に、耳かたむけて
気づきもせずに、縫っていた
かなこのかなこの、どこかで鳥が鳴いていた
2013-03-10 00:00:00
いまは、なんでも
ひとりのおばあさまがいらして
今は全く何でも手に入るから、と
おっしゃる
理屈でも、哲学でもなく
思い、考えでもなく
なんの重さもなく
――いまは、なんでもてにはいるから
そう、おっしゃる
だからでしょうか
ぬくもりを
てにいれるすべが
わからなくなるもんですね
そうして
なんだか透明な
きれいななみだを
たとたとおとした
なんででしょうね
ふと気が付くと
たったひとり
いまはなんでも
てにはいるから
ひとを てにいれることが
むずかしい
ひとのてのひら
わがままと甘え
いぞんと好き
どこまで、どこまで
わたしらしくとか
あなたらしくとか
すこし、わかりません
いまはなんでもてにはいるから
ひとのてのひら てにいれることが
むずかしい
どうしたら
ひとが そばに
いてくれるんでしょう
どうしたら
ひとと ともに
いられるのでしょう
それからおばあ様の涙を集めて
花を活けて
ふたりでお茶を飲んだ
いまはなんでも てにはいるから
口癖のように言われる
なんにも、手に入れられなかったように
さみしそうに、微笑まれる
2013-02-08 00:00:00
ゼンモンどう?
だいたいどうしておぼうさまはハゲなのでしょう
一番最初の方が決めたの?
お経は、ハゲ頭で、って
それとも徐々にはげに?
ハゲが流行して定着したの?
徳の高いおぼうさまが
ハゲだったから、流行ったの?
それとも、おぼうさまのどなたかが
ある日突然、イカス!と思って、はげにされたら
流行ったの?
そう、大仏さまにお聞きしましたら
――もっと違う質問にせよ――と
いわれました
わたしは、そういえば
大仏さまは
はげではないな、と
おもいました
(パンチパーマ)
2013-01-09 00:00:00
ゴキブリ
ゴキブリをみつけ
叩き殺しましたとき、ふと
ゴキブリが死ぬとき
ハイになるんだ、という
逸話をおもいだし
「わたしはゴキブリ
ハイになって死ぬ」
と、詩歌をよみましたら
たぶん、ずっと守ってくださっていた
どなたかなのかもしれません
男性のきれいな声が
――なにいってんだ――と
つっこんで笑われました
わたしは、そういった存在も
突っ込むんだと
大変驚きました
2013-01-08 00:00:00
かしわもち
今日は砂漠の乾燥地帯に私はいました
のどはからからで
360度、すべてが砂地
なんのオアシスもみえません
息も絶え絶えになり
なみだながらに
いのりつづけ、
生きたいと願い続けました
そのとき、神の愛のような
優しい白い光が
わたしをつつみこみました
あんずるな、子よ……
神のようなこえが
ささやきかけ
わたしは
あたたかな温もりを
かんじました
――かしわもち
と、おもいました
神の白い愛につつまれたわたしが
かしわもちのあんのように
おもえたのです
あんずるな、といわれたので
ああ、もういいのだとおもったわたしは
もうなんにも考えず
かしわもち、かしわもちとばかり
考えていました
神は吹き出しました
わたしは、神が――たぶん、神が――
ふいたことに驚きつつ
神もふくのだとおもいました
2013-01-08 00:00:00
おぼうさまのはげ・2
大仏様に、
雨上がり、傘をわすれたおぼうさまに
虹がでたらきれいでしょうね
良いことでしょうね
坊主の格好をすれば坊主だと思い込む生臭坊主は
親の七光りならぬ、「はげの七光り」といえばどうでしょうか、と
おたずねしたところ
しばらく黙ってから、吹かれていました
2013-01-08 00:00:00
マフラー
マフラーを編みながら、いとしい人へ、流れた思考が
ふっと、途切れる
なぜだか、アンニュイな気持になる
切ない思いのまま
ぼうっとしていたら、
小さな、愛らしい声で「たたんでつかうの?」と聞こえた
みれば、小さな羽をはやした
きれいな精霊のような方がいらっしゃる
「たたんでつかうの?」
「なにを?」
なんのことかわからず、
とにかく美しいなぁ、と
私がその方を見つめていたら
「マフラー……」
そういわれて、マフラーをひろげてみたら
ものすごく、はばがらひろい
私は気づかないうちに、縦も横もないような
とても幅広いマフラーを編んでいたようだ
もう一度、精霊が「たたんでつかうの?」と聞かれるから
私は「どうしよう」と、聞きかえした
2013-01-08 00:00:00
おぼうさまのはげ
森羅万象、なぜ、おぼうさまはハゲなのでしょう
髪を伸ばさないということは
素肌に太陽の暑さや、風の寒さを
感じることになります
わたしは、たしかな気持ちをもって
おぼうさまのはげは、森羅万象を
かんじるためではないですか、と
大仏さまに聞きましたら
大仏様は、――ちがうよ、――と
いわれました
おぼうさまが
森羅万象をはげで感じるなら
悟りにおうじて、はげの光りもつよくなり
最終的に後光になるのでは、と
考えたのですが、あっさり否定されました
2013-01-08 00:00:00
このコンテンツについて
みえないものとの交流と
想話をつづったコンテンツです
精霊、神様が当たり前に出てきます
少しの時間で読み済む
娯楽ものとして読まれてください
2013-01-06 00:00:00
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「あたしっまけない!!あんたみたいな人には!」と
さけびつつ、こん棒で殴りかかってきた、と
おもいきや、
坂を滑り落ちていったりする