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2011
> 陰陽混在 不倶戴天
陰陽混在 不倶戴天
月しずむ湖畔
男と女は歩いていた
女は うたをうたっていた
この世 流るる 永い永いときの中
あなたは わたしを 育ててくれた
しかし あなたは 想いを忘れた
知恵を忘れた
わたしをみとめる勇気を失い
心をうしなった
供にあゆむものを 蔑視 わらった
(どこかで あなたは 消えたのだ)
私はあなたに 育てられ
私を 見られない あなたの呪いに
打ち勝てない
あなたのせいで
貴方に関わる私の 大半が
あなたを ふかく 憎んでいる
:
男は笑って 唄をうたった
この世 流るる 永い永いときの中
おまえは 私を 育ててくれた
しかし おまえは 想いを忘れた
知恵を忘れた
私を許す勇気を失い
心をうしなった
供にあゆむものを 深く にくんだ
(どこかで おまえは 消えたのだ)
私はおまえに 育てられ
私を 手放せない おまえの呪いに
打ち勝てない
おまえのせいで
お前に関わる私の 大半が
おまえを ふかく 恐れている
:
月しずむ湖畔 今は 夜だ
時がたてば 朝が来る
:
この先の道 なにを見えよう
時の 流れに 導はなく
なにが誓える わたしか おまえか
ちかってください
ことばか 時か
私たちは たがい たがいに
くりかえしている
男は陽という 女は陰という
男は日という 女は月という
彼ら どちらも差はなく 位もなく
ただ 男は日と陽を 女は月と陰を担った
そこには優劣 善悪もなく
ただ
たがいことなる ものたちは
憎しみ 牙となり
想い 守りとなり 歩みをすすめる
さいしょから さいごまで
いくさがつづいている
女は わらった
男は わらった
不倶戴天は
この世にお前を生かしておけないほどの
怒りという
しかしお前を 殺したとき
私もまた 死ぬ
Series :
短編
Tag:
天部
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2011-02-13
11:06:58
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男と女は歩いていた
女は うたをうたっていた
この世 流るる 永い永いときの中
あなたは わたしを 育ててくれた
しかし あなたは 想いを忘れた
知恵を忘れた
わたしをみとめる勇気を失い
心をうしなった
供にあゆむものを 蔑視 わらった
(どこかで あなたは 消えたのだ)
私はあなたに 育てられ
私を 見られない あなたの呪いに
打ち勝てない
あなたのせいで
貴方に関わる私の 大半が
あなたを ふかく 憎んでいる
:
男は笑って 唄をうたった
この世 流るる 永い永いときの中
おまえは 私を 育ててくれた
しかし おまえは 想いを忘れた
知恵を忘れた
私を許す勇気を失い
心をうしなった
供にあゆむものを 深く にくんだ
(どこかで おまえは 消えたのだ)
私はおまえに 育てられ
私を 手放せない おまえの呪いに
打ち勝てない
おまえのせいで
お前に関わる私の 大半が
おまえを ふかく 恐れている
:
月しずむ湖畔 今は 夜だ
時がたてば 朝が来る
:
この先の道 なにを見えよう
時の 流れに 導はなく
なにが誓える わたしか おまえか
ちかってください
ことばか 時か
私たちは たがい たがいに
くりかえしている
男は陽という 女は陰という
男は日という 女は月という
彼ら どちらも差はなく 位もなく
ただ 男は日と陽を 女は月と陰を担った
そこには優劣 善悪もなく
ただ
たがいことなる ものたちは
憎しみ 牙となり
想い 守りとなり 歩みをすすめる
さいしょから さいごまで
いくさがつづいている
女は わらった
男は わらった
不倶戴天は
この世にお前を生かしておけないほどの
怒りという
しかしお前を 殺したとき
私もまた 死ぬ