けーおけーお

山之上のカラスが
があ、があ、があと
さけんでいました
山之上のカラスは
お山が削られたことを
があ、があ、があと
さけんでいるのでした
お山がけずられた、というのは
木々が殺されたことでした
木々はたくさんたくさん
殺されていったのでした

 きっと木々を殺す
 にんげんにも
 いろいろな理由があったのでしょう

そして、カラスは
があ、があ、があと
叫んでいました

 利己的な人の
 ツミは おおきくおおきくなって
 ひとも いのちも
 さまざまに
 まきこんで まきこんで
 やがて やがて
 みずからのいのち
 あるいは
 みずからがうんだ子
 その子がうんだ子さえ
 辛い辛いことになりますのに

わたしは、ふと
いろいろなことを
思い浮かべました

そしたら山之上のカラスは
があ があ があと
さけびさけんで
ばたばたばたと
飛んで行きました

 利己というのは
 目が自分しかないってことさ
 自分しか見えないってことさ

 君もたまに、そうでしょう

そう あなたは言うのでした

 世界にとって、
 自分とは何か ではなくて
 自分がなにを奪えるか
 もらえるか
 そればかり気にしている
 それがね 利己なんだよ

があ があ があ
山之上のカラスが
山の中にかえっていきました
夕方でした
もうすぐ、暗くなりますでしょう

 そしたら、わたしは思ったので言ったのです
 わたしは
 夜の方が気が合いますし
 どうも夜かたがたと
 話が合うようです

 そしたら私は悪いものでしょうか
 善いものでしょうか

ばかだね

 そう笑われました

 何が好きだって なにが嫌いだって
 そんなことは、善悪にはならない

君は夜が生まれだろう
地球はすべての時間に
産まれる人を生まれさせた
そして地球はわけ隔てなく差別なく
彼らに重さをささえ
脈動を愛しんでいる

 君はこの地が生まれだろう
 君の仲間は
 君のいろいろなことで
 君と自分は違うというだろう
 おかしなことだよ

ふ ふ ふと
笑われる
ちいさな蛙が道にとびでて
けーおけーおとなきました

 ただ ただ
 そうですね
 私は利己になると
 自分ばかりに目が行くと
 善より人をはんだんし
 善いがいの人を怒り出す
 それはよくないね

ふふふ けーおけーおと
蛙が鳴きました
あなたは、笑いました
2011-08-02 09:51:40