わからなければ

わかってしまうことが
なければ　よかったのに

そう　申し上げましたら
　にくいかい
　うらみかい
そうお聞きなさる

ですから
わかってしまうことが
できる人を
ほんとうに憎むことなど
だれも
できないのです

　そう　お伝えしました

ぎんのはな　ちかり　ちかり
きんのはな　ちかり　ちかり

　わからなければ
　無為に　うらみ　にくみ
　いかりくるい
　あの人が悪いと
　さけび　ころがり
　泣くことも
　できましたのに

ちかり　はな　ちかり　ちかり

　わたし　笑っているのです

　わたし
　わたし　わたし
　わたしも　だれかに
　わかってほしいと

　願ってきたのです

　何十年
　願ってきたのです

花が　ちかりと　瞬きました

　わたしが　わからないことは　

　ただ　ほんのわずかな　ひとつだけです

なぜ

　わたしが　わからないのだろうと
　いうことです

その姿が　わからなければ
見えなければ
わたしは　無為に
　怨み　憎み　怒り　狂い　のろい

　さけぶことも
　できたのに