花の星
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小説
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2011
> I not like you
I not like you
人は、じぶんの都合のために
いるわけじゃないですよ
亀さんが言いました
温かな霧雨が降っていました
霧の中に
月が浮いていました
晴れ雨、夜の晴れ雨
人に文句がある時は
自分に文句がある時です
私はクスクス笑いました
てんてとち
てんてとち
かめさん
笑っている人間はね
ああだこうだ
推測されてね
まぁそりゃいいんですけどね
受け入れてくれる分
自分にとって
いいことをしてくれないとね
相手の勝手で
悪人だなんてぐらい
罵られるんですよ
クスクス 私が笑ったら
かめさんは
深いため息をつきました
かめさんの前の池が
ゆら、ゆらと
揺れました
私はたんなる人間です
あなたが
されて嫌なことは
わたしも
嫌です
人は、どうして
自分の行いには
点数があまいのだろう
それをあなたがされたら
あなたはどう思う
しかし きっと
貴方の頭は
ずいぶん都合がいいから
軽く見ているんでしょうね
かめさん
私は私の不満を
伝えたいと思う
しかし
人は 都合よく見ていた
自分のための 他人を
自分に不満があるだけで
嫌うのよ
クスクス
クスクス
霧雨の中
月は揺れていました
あん人ら
自分にとって
都合が悪くなったら
かんたんに
人を否定する
私は
あん人らを否定します
私は笑います
ただ笑います
それを見ながら
かめさんが
言いました
君は、人間が
嫌いなのかい
私は押し黙り
雨はいくぶん
激しくなりました
少ししてから、
答えました
好きじゃなきゃ
こんなにならない
自分の醜悪には甘く
人を見ては醜悪を数え
――でも
彼らにとって他人の醜悪は
自分にとって不都合な所よ――
笑う、彼らを
いまは憎んでいます
霧雨が降っていました
胸から血が流れていたので
霧雨に流したら
月にのぼっていった
道端には細かい
綺麗な白い花が
たくさん咲いていました
人に苛立ちを
覚えるときは
私が人に
都合のよい姿を
求めているから
最初から
期待など
出来ないことは
わかっていたのに
君が嫌いです
君のように
優位になりたくて
見下しをもちながら
人の悪さを
軽蔑しながら
笑いながら
侮辱しながら
嫌うわけでは
ありません
――どうして、人からの侮辱には気がつくのに、自分の侮辱には気がつかない――
今の君が嫌いです
嫌うことが苦痛です
都合よく
君が嫌いです
これは、私の姿
貴方の、姿
また
愛を持てますように
Series :
短編
Tag:
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2011-08-26
06:24:34
花の星
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2011
> I not like you
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いるわけじゃないですよ
亀さんが言いました
温かな霧雨が降っていました
霧の中に
月が浮いていました
晴れ雨、夜の晴れ雨
人に文句がある時は
自分に文句がある時です
私はクスクス笑いました
てんてとち
てんてとち
かめさん
笑っている人間はね
ああだこうだ
推測されてね
まぁそりゃいいんですけどね
受け入れてくれる分
自分にとって
いいことをしてくれないとね
相手の勝手で
悪人だなんてぐらい
罵られるんですよ
クスクス 私が笑ったら
かめさんは
深いため息をつきました
かめさんの前の池が
ゆら、ゆらと
揺れました
私はたんなる人間です
あなたが
されて嫌なことは
わたしも
嫌です
人は、どうして
自分の行いには
点数があまいのだろう
それをあなたがされたら
あなたはどう思う
しかし きっと
貴方の頭は
ずいぶん都合がいいから
軽く見ているんでしょうね
かめさん
私は私の不満を
伝えたいと思う
しかし
人は 都合よく見ていた
自分のための 他人を
自分に不満があるだけで
嫌うのよ
クスクス
クスクス
霧雨の中
月は揺れていました
あん人ら
自分にとって
都合が悪くなったら
かんたんに
人を否定する
私は
あん人らを否定します
私は笑います
ただ笑います
それを見ながら
かめさんが
言いました
君は、人間が
嫌いなのかい
私は押し黙り
雨はいくぶん
激しくなりました
少ししてから、
答えました
好きじゃなきゃ
こんなにならない
自分の醜悪には甘く
人を見ては醜悪を数え
――でも
彼らにとって他人の醜悪は
自分にとって不都合な所よ――
笑う、彼らを
いまは憎んでいます
霧雨が降っていました
胸から血が流れていたので
霧雨に流したら
月にのぼっていった
道端には細かい
綺麗な白い花が
たくさん咲いていました
人に苛立ちを
覚えるときは
私が人に
都合のよい姿を
求めているから
最初から
期待など
出来ないことは
わかっていたのに
君が嫌いです
君のように
優位になりたくて
見下しをもちながら
人の悪さを
軽蔑しながら
笑いながら
侮辱しながら
嫌うわけでは
ありません
――どうして、人からの侮辱には気がつくのに、自分の侮辱には気がつかない――
今の君が嫌いです
嫌うことが苦痛です
都合よく
君が嫌いです
これは、私の姿
貴方の、姿
また
愛を持てますように