私はこれが何の意味を持つのか知らない

金色と青の縁取りに彩られた子供、王さまの
目の中は金色に縦筋がはいっていて
それは蛇の目だった
蛇は美しいように思えたが 少し恐ろしかった

その方が金の卵と、金の棒をまえにして
口をあけるとふたつの刃がみえた
王様の口はふたつの八重歯がはえていた
それは皮膚がかたくなったものだった

城の中はどこか中国の昔の王宮のように
金と黒、青と赤で彩られていたけれど
なにか光がなく、うすあおく暗い様子で
もしかしたら朝の前のように思えた

王さまは卵を割っては
口にして
卵を割っては口にしていた
そしてひどく憂鬱で悲しげだった
私は、彼が恐ろしく美しく恐ろしく見えたので
恐る恐る、ただ問いかけた

 あなたは 悪魔ですか
 あなたは 害をなすものですか

そうしたら彼はただ振り返り
その御頭には金色のエゾシカのような角が生えていたけれど
もしかしたら、冠だったのかもしれない

 ああ、 あなたは 閻魔様ですね

わたしは恐ろしくて頭を下げようと思ったけれど
おそろしさに下げるのはどうかと思うので
ただ会釈して、その目を見たら
あまりに美しかった 金の中に青い縦筋でした

 彼はきゅうっとその縦筋をしぼって私を見てから
 おおぎょうな溜息を あああ、あああ とついて
 また金色の卵をわって たべ わってたべ

 私は青鬼、鬼というのは美しいと思って見ていた

悪い鬼良い鬼たぶん人と変わらない どちらもいて
また確かにどちらもその胸に ひとりひとりがあるのだろう

 私は私に答えない 答えることなどない
 その方にただ会釈をして もっていた花を花瓶にかけ
 赤と白、白とだいだいの花をかけたら
 なにか金色の光がさあっとさして
 その方が ぽつり

 朝だ、と おっしゃった 私もうなづいた

私は何か、恐ろしいけれど
愛しいような思いだったので
朝をその人と見た

 私は戻らなければならないことを告げて
 戻ってきたけれど
 朝になって
 だけど起きたら
 何か、さっぱりわからない

 ただあちらもあちらで
 大変なのだろうと思えた
 気がついたら
 手に金色の光を握りしめていた

私はひとひとの間にある愛を
ただ守りたいと願った
2011-08-31 12:28:25