すきま

空は春めいていて
うすいガラスのような
水色と群青の色に
花の香りが流れている

鳥がその空をとびかい
小さい奇麗な声で
楽しそうにさえずっている

誰と誰が
はなしこんでいる
それがまるで
歌をかわしているようだった


……ただしいものが
ふりあげた手と
傷つけると
わかっているものの手は
どちらが痛い

……だれだって
あれが悪いんだと
ひとを、
責めるときは
ただしいがわだと
思い込むから
比べられない

……ふうん
……

もしも歌が
恋手紙のかわりだったなら
そうしたら、かわすものだったのかもしれないと思う

……

……うつろい
うつろい
かわりつづける
たとえ
とまっているようでも
ひと みな
命のままに
ときを きざみ
二度はない 今を喰らい
明日へと
流れている

すうすうとながれる
川のほとりに
金色の花が咲いている
その横に
ちいさな白いカメが2匹いる

つめたそうな、深い青にしずんだ川の中には
銀色なんだか白なんだか
おぼつかない色あいに光り、
きらめく魚がたくさんいて
ゆっくり泳いで深くなったり
浅くなったりしている

……ひとと
傷つかない
傷つけないことは
どんなに
難しいだろう

だって
ちかより
……こころを
ひらいたものにこそ
ひとは
傷つくもの

……それでも
傷つけたくないと
もがいていたい

紅い赤い花が
川のほとりに
水にすこしひたって咲いていて
ゆらゆらゆらめいて
金魚のおびれのようだと思う

……人間好きだよ
なんだか、
ひとりじゃいられない
よわいところに
希望があると
おもうんだよ

……よわさ……?

……うん

……
2012-03-26 15:26:44