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短編[Year.2011]

2011

2011-09-13 19:54:32 しろ
腹を下にねむっていたら 外では鈴虫が鳴いていた。 ただ、こまかいあめが ぽ、ぽ、ぽと おりてきて それが鈴虫の声とあいまって 星がながれおちてきたように思えた 起き上がり しばしば(……)
(648文字数)

2011-09-07 16:49:48 明け方の月
起きると明け方の月 しろく 薄明かりにかかる ―― 必要とされることが 望みだったに ちがいない ふと、そう思う いったい 必要とする人を 手に入れるより 必要とされる(……)
(924文字数)

2011-09-05 16:48:18 うた
青葉が山にしげり 香り高い実がなるころ 麓は霧が出て わたしは迷っていたよ 霧のなかは見上げても月は見えないし あかるくも暗くもない 道だまりに からからと からきしに乾いた枯れ葉(……)
(1065文字数)

2011-09-05 16:48:04 ナギとヤワ…黒い龍
……黒い龍が うろこ逆立てて 走り流れた ひずめに ひっかかれた空 われて 雷がひかり ひかり でも遠すぎて 音もなかったんだ ナギが話す ヤワはただ聞いている 霧の中、灰色 (……)
(1160文字数)

2011-09-02 20:25:05 ミルクの森
昔々あるところに、 ミルクでできた王さまが居ました おうさまは体も何もかもがミルクでした ただ体を保つために気合を入れて生きていました ある日、王さまは道端で転んでしまいました (……)
(863文字数)

2011-08-31 12:28:25 愛
私はこれが何の意味を持つのか知らない 金色と青の縁取りに彩られた子供、王さまの 目の中は金色に縦筋がはいっていて それは蛇の目だった 蛇は美しいように思えたが 少し恐ろしかった その(……)
(1015文字数)

2011-08-31 12:14:56 こころ
夕日はさんさんに 川べりにてっていて 川はたくさんの光を流して すきとおっていた 底にある小さな光る石まで 太陽の光をぴしゃりぴしゃりと光らせ 魚が楽しげに涼しげに下る姿がみえた そ(……)
(723文字数)

2011-08-30 20:00:41 虹
彼は柔らかな空をみていた ちいさな鳥がなんびきもつらなり、飛んでいた。 かなしいこえが ぱーお ぱーおと響いていた : 暗い夜だった 小さな森の水辺で 釣りをしている彼のそ(……)
(1237文字数)

2011-08-28 22:39:01 白雲
銀色の砂浜に やわらかな 太陽が 金の光をみたしていた ぴかりぴかり光る 砂を歩いて わたしは小さなかのかたと ふたりで散歩していた たどりついた白金の岩影から たくさんの滝が(……)
(875文字数)

2011-08-26 06:24:34 I not like you
人は、じぶんの都合のために いるわけじゃないですよ 亀さんが言いました 温かな霧雨が降っていました 霧の中に 月が浮いていました 晴れ雨、夜の晴れ雨  人に文句がある時は (……)
(1203文字数)

2011-08-22 19:58:30 業音
ざあざあと 雨が降っていました 木々の緑がびしょぬれになって 水滴のなか 頭を下げていました うすい、やわらかな白い花が その落ちてくる水に うれしそうに しずかにぬれていました (……)
(1255文字数)

2011-08-14 10:24:21 ソラを
空が金色にとけるような あたたかな色をおびて たくさんのギヤンマが 山の方にとんでいた わたしは 地をとろかしながら 沈む夕陽の金色に ただ 照らされていた 蝶がさわいでいる (……)
(737文字数)

2011-08-12 08:17:16 しかし
母のつむぐ 金色のいとは とんとんに とんとんに 私は 母のそばで 花をついで 花輪をつくる とんとんに とんとんに しかし 草木はマミドリで 鳥はさえずり 金色を(……)
(671文字数)

2011-08-12 04:58:28 羊の話
昔むかしやわらかな羊がいました。 そのこの毛はわたあめみたいにふわふわで、目は黒蜜のようにつぶらで可愛羊でした ある日羊は月を見上げて思いました 『おつきさまは飴玉みたいだわ』 羊は月を(……)
(778文字数)

2011-08-12 03:23:02 その
それは ごくあたたかな 金色のひかり やわらかな 鋭い刃のような オーロラのような 雲のすきまから さしこんだ ひかり 私は岬にいて その光がゆっくりと さしせまるのを 感(……)
(1102文字数)

2011-08-11 13:31:26 カエルに私
柔らかな金色の雲が 灰色の風に たくさん運ばれていきました 薄い青いところに ひかひか光る しろい星が 昼だというのに 見えていました ハイビスカスが 笑っていました あは(……)
(830文字数)

2011-08-07 16:33:07 海
わたしたちが もっと原始の海の頃 考えることができず 思うばかりで出来ていた 海の頃 ゆっくり 波と波との間 わたしたちはたゆたっていた あなたは わたしに微笑んで ほほえみ(……)
(516文字数)

2011-08-07 14:16:21 うんめい
わたしは 大きな白い亀の上にいました 海は青く澄みわたり 空はどこまでも水色をしていました ただ、遠くの方では 白かったり黒かったりする雲が 海の中にかみなりを落としていました  じ(……)
(719文字数)

2011-08-05 20:34:08 あい
たまに自分の不出来さに 頭をがんがんうちすえて 泣き叫びたくなるんだ  狼がいいました そう  鳥が言いました たまに ぼくの不出来さを 笑って欲しいと 願うんだ (……)
(726文字数)

2011-08-05 12:08:54 夢
ジャングルのおおひろば すこしばかり、木々のないところで わたしはひとつの大蛇になって たくさんのうろこを さゆうにうごかして ゆっくりと ひなたぼっこをしておりました わたしは (……)
(1012文字数)

2011-08-04 10:56:37 嫉妬のうた
こんな気持ちだったのか、と思った 暗い川のほとりで 彼は魚をつっていた つりが趣味なんだ、といっていた なぜ、私を それに誘ってくれたのか わからない 彼は無言だった 私も、無(……)
(1289文字数)

2011-08-03 20:18:42 わからなければ
わかってしまうことが なければ よかったのに そう 申し上げましたら  にくいかい  うらみかい そうお聞きなさる ですから わかってしまうことが できる人を ほんとうに憎む(……)
(512文字数)

2011-08-03 20:07:26 しかし
猿の告白でした 猿はペリカンのくちばしをつけていました たくさんの納得が出来ないことはあるのですが だけど、私は、私が悪いところを なぜかとてもよく分かっていて 受け入れられなかったこと(……)
(526文字数)

2011-08-03 19:55:25 私の自業
ただ冬が来ました  とうさん あの人はなぜ  おとななのに やさしくなれないの と  お聞きしました  そうしたら 笑われました とうさん 拒まれても その心を 受け入れなければ(……)
(734文字数)

2011-08-03 12:50:39 泣き言
私の傍に 母と父がおりました 父はさわさわとした 金色のふさふさをもって ぴんぴんぺんぺんと うたっていらっしゃいました 母はただ微笑みながら 私のひたすらな遊びを 眺めていらっしゃい(……)
(867文字数)

2011-08-02 11:15:55 おおかみ
山のさきは たしかに雪が降り積もり しずかな、しずかな寒さで おおわれていました その雪山で おおかみにあいました おおかみは金の眼の片目を とんとつぶされておりました それは、人(……)
(984文字数)

2011-08-02 09:51:40 けーおけーお
山之上のカラスが があ、があ、があと さけんでいました 山之上のカラスは お山が削られたことを があ、があ、があと さけんでいるのでした お山がけずられた、というのは 木々が殺されたこ(……)
(1104文字数)

2011-07-18 17:25:04 希望
太陽は 金色の火を吹き 黒いなかから 赤いりゅうりゅうした マグマをたえず 流し続ける 太陽は 火の竜のかたまり 鳥であり 蜥蜴であり、金の蛇 金色の目をした フクロウ (……)
(725文字数)

2011-07-18 15:38:25 あなたが人を大切に出来ない理由を
昔ばかり思い出して なみだが流れて うごけないような そんな夜でした 胸の中に 冷たい針がはいって うごけないような そんな夜でした 傍にいた月見草がはなしました  ベイ(……)
(1295文字数)

2011-07-10 11:08:38 苦難と歓喜
「自分はこの世の何のお役に立てて幸せを思うか」と いうのが、人の役目なのでしょう これが見つからない間 人は、自分ではないものを自分に着せて 自分以外のだれかが矛盾をなおすべきだと (……)
(637文字数)

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