時間というものを
盗んでいくものが
ものがたり「モモ」の中に
出てくる
「灰色の男」といわれる

かれらの盗みかたはとてもうまくて
「時間は重要です」という
「節約しましょう、
これとこれは無駄です
そのぶん、これをしましょう」という
そうして人が節約すると決めた時間を
「私達にお預けください
いずれ貴方が必要なときに
利子をつけておかえしします」
そう約束し、もっていく

もちろん「必要なとき」なんてものは
おとずれない
約束してしまったひとは
「節約して」生きていくのだから

たまに、今のニュースを聞きながら
そのものがたりをおもう

私は「節約すること」と
「大事にすること」は
イコールではないとおもう

「モモ」のなかで
節約された時間、
灰色の男にわたされた時間は
人に花をおくる、とか
なにか他愛のないことを思って
数時間すごす、とか
そんなことだった

うまくやられて盗まれたひとの
せっかちでイライラした様子より
灰色の男の、
なにももっていない感じが
ものがなしかった

今になって思うと
あれは「むなしさ」の
姿そのままだったと思う

私はとても昔に「モモ」を読んだ
星の王子さま、モモ、アリスの話は
いつも忘れられない
Series.日々徒然
「モモ」と灰色の男