うた

青葉が山にしげり
香り高い実がなるころ
麓は霧が出て
わたしは迷っていたよ

霧のなかは見上げても月は見えないし
あかるくも暗くもない
道だまりに
からからと
からきしに乾いた枯れ葉が鳴るだけ

迷って迷い
泣きそうになっていたら
洞穴があったよ

中に白い大きなへびがいて
わたしは聞いたよ
へびの
唄を。

貴方の命に
やどされた
役割りに
こだわりなさい

あなたに拘れば

あなたの怒りに
苦しんで
愛と怒りに
はさまれて

役割の しまいが
できないから

わたしは聞いたよ
ああ 広い空から
雨粒のように
銀の歌がふりそそぎ
わたしは聞いたよ

あなたの名に
こだわらないで
あなたに こだわり
あなたの名に
こだわらないで

あなたに こだわり
名に こだわらないで

出来ることが 役割
役割にこだわり
貴方のなに

こだわらないで

それは歌だった
優しい歌だった
気がついたら
なにもかもが
歌っていたよ

草も木も
水も星も
風も月も
あらゆる命が
歌っていた

なを呼ばれるから
咲くのではなく
なを呼ばれるから
飛ぶのではなく
なが高まるから
命かぎり
いきるのではない

出来ることが役割
与えられる愛が使命
愛が光
あなたの命が
あなたの
役割

あなたの あなたでは
なくて
あなたの 命が
あなたの 役割

歌がふりそそぎ
歌がふりそそぎ
もう 悲しみも
苦しみもなく
忘れていたんだ
わたしは あなたの
なかの ひとり

あなたに
支えられ
支えている
わのなかの
ひとり

ことなる音で
うたうために
うまれた

あなた もう
わたしは かなしくない

あなたの そばに
あなたの 幸福
わたしの そばに
わたしの 幸福

いつも

歌っているよ
歌っていたよ

命は ああ
声より なにより
ただ
ふるえ
うたうために

ここにあったよ

歌っているよ

あなた
異なる命の音が
かさなり
ひびき
ひびきあい
ひろがり
ひびきあい
ひろがり ひかり
わたしたちは


わたしは
ただ うたうための命
わたしの前に
ひかり うたう
わたしは
ただ うたうための愛
愛 うたうために

ここにいるよ
2011-09-05 16:48:18