花の星
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2011
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りぐりぐ
りんりんと
鈴が鳴ります
気がついたら 雨の中
たくさんの魚がいて
気がついたら 雨の中
たくさんの月明かり
すいこんでひかる
星のような魚がいて
すいすい すいすい 泳いでいた
―― あなたは
あなたの大切さを知らない
あなたが あなたになる
その大切さも 必要さも
わかっていない
りぐりぐ りぐりぐ
かねがなります
気がついたら 雨の中
たくさんの魚がいて
わたしは赤い傘を
肩の上に差しながら
まるで、ミルクのように
光りながれる雨水のまえ
魚とともに
空を見上げていた
空は、満天の星
ただ、ひろくひろく
雲がすこしばかり
流れていた
―― わたしはわたしになります
わたしは私がかせる
わたしへのおり 固定された概念
しがみつきたい私の価値
その意識をこえ
いつまでも わたしの上を
めざしましょう
―― わたしは
わたしが
わたしになりつづけること
それしか 私になれないことを
わかりました
空の上の方にかかる
甘い色のつきは
白く、白く
ただきれいに
光り輝いている
ちか ちか ちかりん
ちか ちかりん
私の口から毒が漏れて
その毒を食らったさかなが
毒をながし
ほかの魚が毒にそまる
ふと、ああ
私の周りに流れる毒は
私の毒だと
気がつくときがある
―― そら 飛び続けるから
鳥は鳥になれるのです
―― あなたは 空を見ていますか
そこに月はありますか
それで魚は泳いでいますか
天の川にも
魚がいます
天の川にも
鳥がいます
―― あの空は
あなたにつづいて
あなたをこえて
わたしにかえる
―― 今このとき この世において
一人ひとり授かった命を持って
誰のものでもない 自分の旅をし続け
誰のものでも
誰のかわりでもないから
とてもさびしく とてもおかしく とてもかなしい
その人の旅をつづけている
―― いったい ひとりひとりだから
さびしく
いったい ひとりひとりだから
人を求め
いったい ひとりひとりだから
手をつなげて
だけど ひとり旅
―― ひとり旅
なっとくできなくて
ただ ひとりがさびしくて
己を人に 求めてしまう
―― あなたのたびは
私の旅とは違う旅
だけど 私と同じように
求められ 愛され
受け入れられ 授けられ
与えられた 旅路
―― その時 その時を
愛してほしいと
―― 隣の命を
―― たがいのいのちを
―― あなたを授けた
森羅万象に
あなたは
祈られている
―― ほかの存在を
尊重することを覚えたら
おまえの命にあたえられた
祈りの思いもわかるから
どうぞ あなたの目の前の
いまそのときと
そばにいる いのちとを
大切にしてください
―― あたりまえだとか
自分のためだとか
自分を中心にして
自分ばかりを評価して
ひとりよがりに思わずに
―― あなたのそばにある いのちは
となりの 存在は
あなたのために
利用されるべき恵みではなく
あなたを支えてくれる
授かった命 恵みなんだと
わかってください
ふと、気がついたら
空の上の方に歌が流れていた
ただ、ただ
ひたすら、川のように
流れるように
歌っていた
―― ひとり あなたとなり
あなたが 誰かをささえ
誰かがささえてくれていたことに
きがついて
礼をおぼえ
互い 支えあうために
―― 森羅万象があなたを支えている
あなたに利用されるための
あなたのための もの など ない
ただ 支えている
それは 恵み
あなたは授かった 万物から 祈りとともに
あなたという 名を背負い
あなたから 逃げず
あなた そのものの存在に なってほしいと
―― あなたになれない限り
あなたは あなたの旅を
見つけられない
―― 人の中にあなたを見る前に
あなたを 見つけて きてください
Series :
中編
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2011-09-25
22:36:37
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りんりんと
鈴が鳴ります
気がついたら 雨の中
たくさんの魚がいて
気がついたら 雨の中
たくさんの月明かり
すいこんでひかる
星のような魚がいて
すいすい すいすい 泳いでいた
―― あなたは
あなたの大切さを知らない
あなたが あなたになる
その大切さも 必要さも
わかっていない
りぐりぐ りぐりぐ
かねがなります
気がついたら 雨の中
たくさんの魚がいて
わたしは赤い傘を
肩の上に差しながら
まるで、ミルクのように
光りながれる雨水のまえ
魚とともに
空を見上げていた
空は、満天の星
ただ、ひろくひろく
雲がすこしばかり
流れていた
―― わたしはわたしになります
わたしは私がかせる
わたしへのおり 固定された概念
しがみつきたい私の価値
その意識をこえ
いつまでも わたしの上を
めざしましょう
―― わたしは
わたしが
わたしになりつづけること
それしか 私になれないことを
わかりました
空の上の方にかかる
甘い色のつきは
白く、白く
ただきれいに
光り輝いている
ちか ちか ちかりん
ちか ちかりん
私の口から毒が漏れて
その毒を食らったさかなが
毒をながし
ほかの魚が毒にそまる
ふと、ああ
私の周りに流れる毒は
私の毒だと
気がつくときがある
―― そら 飛び続けるから
鳥は鳥になれるのです
―― あなたは 空を見ていますか
そこに月はありますか
それで魚は泳いでいますか
天の川にも
魚がいます
天の川にも
鳥がいます
―― あの空は
あなたにつづいて
あなたをこえて
わたしにかえる
―― 今このとき この世において
一人ひとり授かった命を持って
誰のものでもない 自分の旅をし続け
誰のものでも
誰のかわりでもないから
とてもさびしく とてもおかしく とてもかなしい
その人の旅をつづけている
―― いったい ひとりひとりだから
さびしく
いったい ひとりひとりだから
人を求め
いったい ひとりひとりだから
手をつなげて
だけど ひとり旅
―― ひとり旅
なっとくできなくて
ただ ひとりがさびしくて
己を人に 求めてしまう
―― あなたのたびは
私の旅とは違う旅
だけど 私と同じように
求められ 愛され
受け入れられ 授けられ
与えられた 旅路
―― その時 その時を
愛してほしいと
―― 隣の命を
―― たがいのいのちを
―― あなたを授けた
森羅万象に
あなたは
祈られている
―― ほかの存在を
尊重することを覚えたら
おまえの命にあたえられた
祈りの思いもわかるから
どうぞ あなたの目の前の
いまそのときと
そばにいる いのちとを
大切にしてください
―― あたりまえだとか
自分のためだとか
自分を中心にして
自分ばかりを評価して
ひとりよがりに思わずに
―― あなたのそばにある いのちは
となりの 存在は
あなたのために
利用されるべき恵みではなく
あなたを支えてくれる
授かった命 恵みなんだと
わかってください
ふと、気がついたら
空の上の方に歌が流れていた
ただ、ただ
ひたすら、川のように
流れるように
歌っていた
―― ひとり あなたとなり
あなたが 誰かをささえ
誰かがささえてくれていたことに
きがついて
礼をおぼえ
互い 支えあうために
―― 森羅万象があなたを支えている
あなたに利用されるための
あなたのための もの など ない
ただ 支えている
それは 恵み
あなたは授かった 万物から 祈りとともに
あなたという 名を背負い
あなたから 逃げず
あなた そのものの存在に なってほしいと
―― あなたになれない限り
あなたは あなたの旅を
見つけられない
―― 人の中にあなたを見る前に
あなたを 見つけて きてください