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小説

Year.2012

2 page

2012-03-18 18:48:37 虎
虎がいた サーカスから逃げてきた草食の虎で 銀に見間違うばかりの白い毛並みをして エメラルドグリーンの竹林にすんでいた 竹林は夕陽がさすと金色になり 朝日が昇ると桃色に光り たまに雨が(……)
(890文字数)

2012-03-18 12:00:39 なんでもない
うっすらと 白い霧が道みちのあいまにかかり 白いあつぼったい花が 黒みどりの木々に咲いている あまいにおいが薫り ちいさな鳥声がさえずる ……冬よりやはり とり、元気がいいね (……)
(386文字数)

2012-03-18 09:56:00 孔雀
きんぞこ公園の地下には 名前のない水族館がある こしてきたばかりの三条に あんないついでにいってみたら、 ほどよくすいていて 観客は笑いながら歩き回っている スーパーの紙袋をさげたおば(……)
(1186文字数)

2012-03-16 15:46:21 うすぐもり
深いあおいそらに 真っ黒い細いみきを たいへんにのばして 梅が咲いています 白い梅はまだ蕾もありながら さきはじめた花花を 風のなかにあてて ここちよい薫りを漂わせます かたむいた(……)
(1378文字数)

2012-03-14 15:46:01 子
泣いている子がいたから 赤いマフラーをあげた その子はうっとうしげに 私をしげしげ見あげて なにこれ、いらないといった そうだね、と いっておいた ざんざらのあめが ばらばらに(……)
(1452文字数)

2012-03-14 13:00:00 こおり
耳の痛いような まっくろいよぞら 寒くて手先がふるえる さきに降った まっしろい雪が 地面にどろどろのだまになってる ちいさな学校のすみをとおったら その校庭にひとがいて それがお(……)
(1051文字数)

2012-03-14 13:00:00 蜥蜴
ばつばつと 長く黒い水が 渦をかいてながれている 魚なんだろう しいろい背鰭が ちかちかひかり ひっきりなしに ういたりしずんだり よい、夜ですね ママサマがそういう ママサマ(……)
(1127文字数)

2012-03-02 18:04:03 あんまんと、肉まん
あんまり、あめがふりすぎて みどりいろの景色のなかに ぼたんの花が咲いているのだけど それが金魚のようだった 真みどりの葉に うもれた金魚 隣にいた銀背さんは てきとうなあいずちをう(……)
(1060文字数)

2012-03-02 12:22:07 ウサギと亀
真っ白い雪の中 まみどりのひいらぎが うもれていました しずかな音のない公園に いっぴきのうさぎが ひょうひょうとはいってきて おお、いけない 遅刻しそうだ、といって くすくす笑い(……)
(786文字数)

2012-02-29 19:46:06 星
ふなべりで 話などできない人と ふたりきりになった その人はどこか異国から来たらしい 言葉はつうじない その人は英語で ワタシは日本語 どちらも、互いの言葉がわからない ただ、(……)
(1284文字数)

2012-02-29 19:30:49 塔
やわらかなぬくもり 隣にいて、いすぎて とても うとましくなっていった : 赤い色のちいさなきのみが 森のあちこちに実り 地におちたり、腐ったりしている 私たちは その実をひ(……)
(1588文字数)

2012-02-29 17:16:16 劣悪
呪わない うらまない にくまない : 林道をぬけたところに ちいさな公園があって たいていは誰もいないので よく、ひるやすみに 陽射しにあたたまりにいった 日のひかりに背(……)
(1616文字数)

2012-02-28 21:47:09 願い事
せんじつ ひょんなことで 足の裏を見ていたら きみ、あれにも しわがあるんだね そのしわが、 やわらかくながれている あれが俺を支えているのかとおもったよ そう焼酎は呟きながら (……)
(2016文字数)

2012-02-27 21:04:45 蜘蛛
少しうすい霧が立ち込めている みずみずしい緑色の葉の上に 真っ白い蜘蛛がいて 霧越しの森を見ている 蜘蛛の巣はたくさん水滴がついて それが真珠のようにひかり ふるえている 蜘蛛がぽつ(……)
(703文字数)

2012-02-26 17:06:27 にくまん
あちらのほうは きっと、海なんだろう まっくろい中で 小さな光が沢山瞬いて ゆったりゆったりゆれている 潮の香りって、すごいですね そういうから そうね、しめっています そういう (……)
(1139文字数)

2012-02-24 17:49:53 雨
暗い色のパズルを選んだら つくるうちにきがめいってしまった 失敗だったと笑って 邪魔をしようかどうしようか なやんでいるらしいみゃーこに話しかける やめておいてよ おわるまではさ 顔(……)
(736文字数)

2012-02-24 16:31:08 ぎもん
まっかな花びらが まっくろい川の上を すう、すうと 流れて過ぎ去る 白く、ながい うつくしい魚が したのほうにいて 黒い川の中 ゆっくりとおよいで うろこをきらめかせている (……)
(955文字数)

2012-02-22 21:32:15 川
赤紫の蝶が 川原のあちらこちらにある 青白い炎のまわりに とびかっていて たきぎの焦げるにおいがする ばちばちはぜる音の中 ぶう、ぶううんと なにか、重い羽音がする 蛾でもいるのだ(……)
(711文字数)

2012-02-22 18:51:14 極
人を 愛そうとおもい 愛する資格が 無いのに気がつく : まっくろい海辺に たくさんの花びらを散らして たんぽぽのような、黄色い花が咲いている ようくみると それらはたんぽぽで(……)
(2855文字数)

2012-02-19 13:54:12 キリンの子
角が甘く痛いという、たぶん彼はキリンのひとつなのだろう 首はもうすぐのびるんだろうと思う はえかけた角がいたがゆいと、またないて わたしに頬をすりつける でも、かいたらひりひりするんで(……)
(596文字数)

2012-02-19 11:03:21 クラゲの大群
あたたかく、 あかく、光がさしこんで 海のなかはゆんわり温もり ちいさな銀色の小魚たちが ひかりひかり、泳いでいく ――あたたかですね、 亀がいう 大分長く生きたらしい こおらから(……)
(501文字数)

2012-02-19 00:25:19 鵜飼い
明るい花びらのしたに わけのわからない 柔らかい、ぬめぬめしたものがいて それがしゃみせんをくれという それで、さしだしたら べんべんべん、べんべんべん、と ならしはじめる ―― リ(……)
(709文字数)

2012-02-18 22:25:20 いびつ
だあんだんと 海なりのような音が響いている ただ真っ白くあかるい月が くらい空にまっすぐのぼり 砂浜をぼおっと白に光らせている 歩くたびに後ろに紫色の足跡がついて おもしろがっていたら(……)
(718文字数)

2012-02-17 15:36:03 金色のつき
青色の深いくらい湖に 真白い花が咲いている 幾重にも、幾重にも ぼったりと重いくびを傾け 花が咲いている 窓からみおろした湖は 花びらを浮かせて 風にゆんぐりゆがいでいる あた(……)
(1567文字数)

2012-02-16 21:53:06 お帰りなさい
おかえりなさい ただいま : 家にかえると 奥さんで新妻でカエルのオタが 玄関前で泣いていた しくしくして、気づかない 扉をコンコンふたつたたいて どうしたの、と聞いたら (……)
(2389文字数)

2012-02-10 18:53:56 氷
ちかちかときらめく満天の星空の下 みずうみが薄い氷をつけて 空の光に照らされている その中央にやけにひっそりとした真白い月がのぼっていて 空の黒をよりいっそう深めている みずうみの右はし(……)
(1637文字数)

2012-02-10 11:25:46 桃色の鳥
ももいろの小さな鳥は すこし黄みがかったそのくちばしで おばあさんの背中を叩く 小さなくちばしは すこし軽くて おばあさんの肩で たしたしと、音を鳴らす おばあさんの背中は とおに(……)
(1545文字数)

2012-02-08 21:35:26 まぼろし
さぼてんが 土の中から生えてきた 亀が二匹 その傍を ゆっくりあるいて 通り過ぎる 雨でもふったのか 地面は湿ってぬくもり むうっとした空気が立ち上っている 長靴がやわら(……)
(1412文字数)

2012-02-07 21:00:00 芋虫
今日は彼女の誕生日で くまのぬいぐるみとバラを買って 桃色のリボンで飾り付けて わきにかかえてもっていったら 彼女は部屋中に桃色の花を散らばせて茫然としていた どうしたん、そう聞いたら (……)
(838文字数)

2012-02-07 18:44:10 うらら
台所で猫人が歌っている うらら、うらら うらうらうらー うららーうららー うら? うら? うら? だんだん、らが 巻き舌になってきて うるぁあ うるぁああ うるぁああと 叫ぶように(……)
(1114文字数)

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