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小説

Year.2012

3 page

2012-02-06 21:56:41 白い恐竜
真っ白い布にひとはり ほつれないよう、ひとはり 誕生日になにがほしいと聞いたら 真白い恐竜のぬいぐるみといわれて 茶色い小さな縫い目で目をつけて ひとはり 白い恐竜のぬいぐるみをつくった (……)
(627文字数)

2012-02-06 15:53:08 確認済み
荒れ地と雑木林の近くにある古びた美術館は ほこりのたまった白い壁に たくさんの茶けた額縁をつけて たくさんの古びた絵を飾っていた 幾度か通っていたが 別にたいしたこともなく つまらない(……)
(1621文字数)

2012-02-04 21:25:56 クラゲ
海の底まで見透かせるような夜 塩辛い波のうえに 氷るような月が きらんきらんと冷たく光る 月明かりのちょうど下に クラゲがひとついて それが白い花びらをはんでいる なにをしている (……)
(757文字数)

2012-02-03 22:54:55 白猿
柔らかく細かい雨が 音もなくふっている 銀色の雨 澄みわたった空の右のほうに ましいろい、かけた月が きらきらひかっている たくさんの波紋をえがきながら 水海に雨がふりそそぎ (……)
(658文字数)

2012-02-03 08:41:08 花
まっぐろい川べり 黒い影のような草花が風にざわめいている 空にはたくさんの雲が流れ ぐろぐろと渦を巻いて また先へと流れている そばに小さな黄色い風船をもった子が居て その風船に薬局の(……)
(1041文字数)

2012-01-23 15:21:06 your
幼かったころ 沢山の答えを 沢山の人がくれた それは、いまでも うみでゆらぐ、骨のないくらげのように 外側にくっついる 悪いなんて思えないし 好きじゃないなんて いえないけれど (……)
(664文字数)

2012-01-22 18:04:58 そろそろ、こえようか
いってはいけない だから いわずにきた思いは シーラカンスのように 死にもせず 進化もせず 死海の底で ゆらゆらゆれている : 月をしばらくみて 寒いなぁ、と思う もう、寝(……)
(1365文字数)

2012-01-22 15:03:46 たんす
たんすをあけたらね ちいさなうさぎがいてね そいつが 笑うんです くったくなく ―― きらわれてないかなぁ だからね わらってね あんた、もう それは、やめたんじゃないの そ(……)
(371文字数)

2012-01-21 16:28:22 いたい いたいの
きずあとに てをおいて いたいいたいの とんでけなんて はずかしいから 布団にもぐって ただ内緒で こころのなかで 朝になれば 痛みは消える いたい いたいの とんでけ いたい (……)
(1459文字数)

2012-01-21 12:47:41 たまご螺旋
―― 人生は螺旋  誰のものも ―― 同じ問いに めぐるのは  こえられるからだと もうします ―― めぐるたびに考えれば  いつか  こえられるかもね (……)
(88文字数)

2012-01-21 12:18:00 波の音
―― だいっきらいだったんだ じぶん  イヤだイヤだなんていいながら  解決も出来ない 何度も思い返す  嫌な思い出 ―― もう、こころは許しているのに  記憶が許してくれない 波(……)
(646文字数)

2012-01-20 21:22:46 折り紙
ふとったことを 曖昧にいうと こうたんぱくしつ 高エネルギー たんぱく質オーバー? だの、変なことをいいながら てこてこ、ふたり 歩いていたら タンポポがある、と さわぎだす (……)
(443文字数)

2012-01-20 11:14:43 この先
―― いきたいところって  かえられるんです  与えられた すべては かえられない ―― 変化は未来が起こすんですか  変化は いまが起こすんですか ―― いまなんて  走ってきた(……)
(264文字数)

2012-01-19 21:54:04 テルテル
うそつき、というから 何が嘘かと思う 部屋はしっちゃかめっちゃかで なにもかもが 彼女の頭とシンクロしているように ごったんごったん 次々飛んでくる テッシュだの、猫のぬいぐるみだの(……)
(634文字数)

2012-01-19 21:33:13 くぬらのおう
くぬらのおうが 話すには あの人は 愛されたいと願いながら 愛せないようだった 目の前にいた黒猫は くぬらの王に言う くぬら、彼ら人らは 愛されたいと願いながら 愛せないので(……)
(596文字数)

2012-01-19 17:01:47 雨
ひどく奇妙なもので おおきなおおきな鐘の音が ぐわん、ぐわんと鳴り響いている どこから聞こえるのか、どうしてなっているのか よくわからないが あまりに響く音なので あたまがぐらぐらする (……)
(855文字数)

2012-01-18 21:58:05 白い鳥と海
ひどく静かな砂浜に彼はいる 空はなぜか薄明かるい こまかいたくさんの星が ちかり、ちかりと 瞬いている 海はおだやかで 深い青みをおびている くらい波間に ゆらゆらゆらめく 橙色(……)
(805文字数)

2012-01-17 22:25:51 鳥
うすべにの ただ、紅く いろづくつばきに 優しさの金色 紅いかんざしをくださいましたから それを髪にさして あなたに、あいにいこうかと 夜道をでましたら なにか、白いとりがいて (……)
(602文字数)

2012-01-17 22:14:19 蛙
ひり、ひりひりとした なにか、あさく 耳が震えるようなおとがして みあげたら 真っ赤な天に赤黒い鳥がたくさん、たくさんとんでいて 怖い、と、思う 祈るような気持ちになりながら 胸のな(……)
(822文字数)

2012-01-17 17:24:17 金柑
まっぐろい 鍋のそこのような空でした 今にも雨がふりそうな 重みのある雲が ゆったりゆったり もぐもぐと、ゆれております 窓からそれをみあげた南は 今日は寒くなりそう、嫌な天気だ、と(……)
(1803文字数)

2012-01-17 10:43:02 アパート
なにが 敵かといえば うぬぼれという 恋文をもらったのは 17ぐらいの時で あまり深く 考えもしないで 付き合った : ―― こけがはえていますね ―― 世辞を言う(……)
(1352文字数)

2012-01-16 10:00:00 白い獣
青いすんだ湖のほとりで 白い獣はりんごをとりにきた 落ちているりんご やわらかい甘い おいしいの そう思いながら ふんふん、かいでいると おんなの人がいて それが、獣を見ている(……)
(1010文字数)

2012-01-15 00:16:10 夜更け
ふ、と、起きると まだ、夜更けのようでした 物静かな闇のなか ちく、たく、ちく、たくと 時計の音がします なにかつまらなくて 天井のしわを数えていましたが 少しして、あきて 障(……)
(591文字数)

2012-01-14 10:13:45 わすれない
 わすれないよお  わすれないよお 風がないでおります  わすれないよお  わすれないよお ここは、海原 海は青黒く なかにいる、魚たちの せびれ、おびれが たまに ち(……)
(1793文字数)

2012-01-13 20:42:37 マイ
ひどく寒い夜空に こおりのように かちこちに、凍えた月があって その下に、マイと父はいて マイは、あまりの寒さに さっきから耳とか、鼻が ちりちりといたく、 たぶん、真っ赤になっている (……)
(2223文字数)

2012-01-12 14:50:38 羽刀
羽刀をいただきまして それが、なにか あたたかに 柔らかい光をおび そうしたら それは、あなたを 貴方の醜さから 護るためです 切る、ためでは ありません、といわれ なにかふさふさ(……)
(460文字数)

2012-01-12 12:17:43 こうお
めをつむると 風の音がないでいた みみ、つめたい あちらにいる なにかが、 もしかしたら 風音の、ききまちがい おおい、と、いう おおい、寒かろう めをあけたら 竹藪のなか (……)
(450文字数)

2012-01-12 12:15:21 雨の上
たくさんの雨が降り 地は青鈍く濁る たくさんの雨は たくさんの音をたてて たくさんの地を わずかにふるわし たくさんの雨がふる 隣に大きなおにがいて それが、柔らかな腰布ひとつで (……)
(627文字数)

2012-01-11 19:22:29 ペニシリン
きょうは あたまがいたくて たくさんの ペニシリンが ひつようだった ペニシリンは 赤猫の名前で 頭が痛い時は 私の傍にいてくれる たくさんの ペニシリン というのは たく(……)
(590文字数)

2012-01-11 16:53:13 サンショウウオ
かわべりで 川に足を浸していた 隣に、サンショウウオさんがいて 彼は、ちゃいろいあたたかな石の上 お茶を飲みながら ひといき、ひといき ついている きゅうくつですねぇ なんて い(……)
(633文字数)

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