花の星
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2012
小説
Year.2012
2012-12-29
11:36:14
あっぷりぱい
やはらかな、さらさらした音が流れている みあげれば、つめたい風にふかれて 月がころんからんと 鳴り響いている あれをならしとうのは だれじゃのな…… そう思いつつ ひろったすずら(……)
(640文字数)
2012-11-05
19:55:12
なさごのうた
あたたかな こえにのって なみだがながれる あたたかな やわらかな はなにのって なみだがながれる 曇りの日の花は ひみつですが 神様のおちからを ほんのわずかに ふくんでい(……)
(1222文字数)
2012-09-13
16:54:08
わたしのきらいなあなた
魚をさばいていたら 妙な手紙が出てきた 魚の血に染まって なまぐさくぬれた、和紙に 「わたしのきらいなあなた」と ていねいな筆跡で書かれていた そのうしろに「1」とかかれている どうも気(……)
(1092文字数)
2012-09-02
12:01:56
じいじ
じいじはたいして目立つ老人ではなく 喧嘩があれば逃げ、 お菓子があればよるような ふつうの老人だった だから死ぬときも特に目立つことはなく あ、しんどる、と 母さんが言った みたら白目む(……)
(1276文字数)
2012-09-01
08:00:00
赤いグミ
ふと、散歩までしようと 小銭入れを持ってサンダルをひっかけた 近所のコンビニで 醤油でも買おう 見上げたらいい月夜で きれいな霧雲がながれている どこの家の窓からか 小さなきれいな音(……)
(734文字数)
2012-08-31
14:14:35
竜
朱銀色の空に 小さな鳥がたくさんとんでいた 小さな翼を下に上にうごかすたんびに かれらの先頭がしょう、とないて つづいてみんなが しょう、しょうしょうしょう しょう、しょうしょうしょうとな(……)
(1195文字数)
2012-08-24
10:00:00
蛇の歌
ちいさな音を立てて 雨がぱらついている 金色の蛇が あめのたまった水の中を すいすい、すいすい、と うたいながら 泳いでいく 小さな金色の木の葉や くさりかけた赤い実 青い鳥の羽(……)
(686文字数)
2012-08-17
08:00:00
うさぎ
やわらかな眠りの中から 目が覚めたら 隙間から 風がフウフウはいってきて ここちよく なでては過ぎ去る いつのまにか 目の前に小さな目をしたウサギがいて あ、おきちゃった、といって(……)
(293文字数)
2012-08-16
08:00:00
白い石
夏というのに 薄い氷の流れる川原で することもなく 小さな石をひろっては きらきら流れる川にぶつけてた 小さな傘をあたまにかぶった 小さな坊主がきて さうさうとした藁をさうさうとなら(……)
(963文字数)
2012-08-15
08:00:00
きつね
風が真珠色のように ひかっていると 小さい狐が思う 小さい狐は ちいさなてのひらにもった ふたつの木の葉をみつめて ばかさないとな、と考える ごさくをばかさないと そうすると ふ(……)
(993文字数)
2012-08-06
21:00:29
くらがりの実
まっくろな木々のなか 赤い実が風に揺られていました さうさうさう さうさうさうと 風がうたっていました 気がついたら手のひらには 勝手に歌う笛があって その笛が そうそうそう そ(……)
(880文字数)
2012-07-24
23:20:18
貝殻に
やわらかな ただ、さむさむとした 海辺のほとりで 白い白い綺麗なかいがらが ゆめをみていた 淡いぱちぱちとした はぜるような夢 おぼつかず 見たり覚めたりしていた ゆめうつつにも(……)
(625文字数)
2012-07-24
10:00:00
虹の川
彼女は柔らかな空をみていた ちいさな鳥がなんびきもつらなり、飛んでいた。 かなしいこえがぱーお ぱーおと響いていた : 暗がりの小さな水辺 あたたかい炎が 燃えている オレ(……)
(923文字数)
2012-07-23
10:00:00
さかな
つきあかりのあかりだまりは うす金のおだやかな色合いで そこには目に見えない あかとあおのさかなが 二つ泳いでいました あかのさかなが ほおあ、あお、あお となきますと あおの(……)
(598文字数)
2012-07-22
10:00:00
とりのこ
あいいろの水の上に しずかにしずかに 黒い木のみが流れていて そのなかから 小さな歌声が響いていました ていていちんちえ ちていててていいいてい 黒い木のみの半分が くりぬかれ(……)
(1025文字数)
2012-07-21
09:45:24
ふくろう
空は真水のようにうすく 透き通って しずまりかえり まるで昼のように明るい夜 まんなかの上の方にある お月さまは やわらかなあめ玉のように 白く甘い金色をまとい きらきら ちかち(……)
(1033文字数)
2012-06-07
17:52:08
石鹸の手
やわらかな すなまじりの雨がふっております 砂は金色で しずみかけた陽にあたり、 ちかり ちかりと ふりおちています あまい桃のような音色で かえるが けえ、けえこ けえ、けえ(……)
(1028文字数)
2012-06-06
17:33:28
モウコ
風がだいぶ流れ、はやくなり そうして家につけておいた鈴が らんらんりんりんなりますから モウコは髪をしばっていた縄をといて 外に歩き始めました 風が良い日は 髪をほどくのがよいのです (……)
(516文字数)
2012-06-06
13:19:54
フルーツ
電気の消えかけた図書館は もう100歳にもなるだろう よぼよぼの館長の 私設の図書館だという 公設の図書館より ずっと美しい世界を見せる 奇妙な本たちは ふかく偏っているが、 それ(……)
(2926文字数)
2012-05-28
14:33:12
ヒノカワ
青い青い空の下 こまかい銀色の雨が さあさああと眠り歌のように 音をたて降りそそいでいる 小さなお子は まんまるい手のひらで 赤いビニール傘をきゅうっとにぎって ビニール越しに見える(……)
(870文字数)
2012-05-26
13:58:47
両性類の会合
まっぐろい池のほとりに 白い花がたくさんさいている 色濃い緑の葉が 影のように覆いかぶさり 花の白だけほの明るい 風がおうおう、おうおうと流れ あまりの大きな音に 会合の地にいこうと(……)
(1489文字数)
2012-05-24
22:05:42
すもも
あかい あかい、きれいなすももをたべながら ももももももももも なにがいいたいのか、 そう、つぶやく すももも、ももも、もものうち? そう、それ すっ かじったとたん すっぱ(……)
(844文字数)
2012-05-24
10:00:00
がとんぼ
まっしろなくもが たゆんたゆんとながれ 金色の星をかくしたり、 だしたりして あそんでいます ちいさながとんぼが さきほどふった雨あとの 空をうつすみずたまりに さっそく足をつけていま(……)
(1075文字数)
2012-05-24
10:00:00
くじら
しろげのたくさんはえた 茎のあおい草が 夕日が沈むにつれ 深くなった風にあてられ ぞおぞおとないでいた あたりいったいに 雨のにおいがふくまれ ひんやりと肌寒い つかいは 片(……)
(1049文字数)
2012-05-23
10:00:00
れもん
満月のよるはきんかん 三日月のよるにレモン それぞれを 月がよく見える窓辺に飾ると 自分も月のひとつだと かんちがいして そのうち光だし もっとうまくいくと 思いこんだ力で うきはじ(……)
(1737文字数)
2012-05-23
10:00:00
竜のうた
そのしょうにゅうどうは 美しい水晶があちこちにたちならび また壁は真珠のように白くなり いつも、きらめく光に あふれていました それというのも 天井の、いっとう遠くの 垂れ下がった岩(……)
(1057文字数)
2012-05-22
14:33:37
竜
わずかに さきほころんだ花と くさりかけた葉と土 そのかおりをのせながら やわらかい風がふいている たくさんの水をふくみ あおあおと草は茂り その上を 小さな鼻さきでかぎまわりながら (……)
(2089文字数)
2012-05-22
01:13:28
ゼラチン士
柔らかな風が 薄く音を鳴らしながら 花の隙間を通り抜けていく 群で見れば 金色のかたまり さわさわと凪いでいる ひとつひとつの花は ゼラチンをうすめたように うす黄金色にすけて(……)
(3226文字数)
2012-05-21
12:16:13
花の絵
べつに、そう親しくもなかったように思う それでも家が近くて 朝陽がきれいだから、とか 夕陽がきれいだから、とか 山鳩がいるから、とか たまごをみつけたから、とか そういったことで遊びに誘え(……)
(2289文字数)
2012-05-13
13:53:53
園子
ちいさな白い花が あまい緑の葉をせに たくさんさいている あわくけむるような白 : 園子をはじめてみたとき 中国のてんそくをおもいだした 小さな靴で育った足 学校の制服に (……)
(4747文字数)
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