要石になるんよ。一番深いところに、収まる。

だから大丈夫だよ。


好きな漫画が何冊かある。

好き、としか言いようがなく

むしろありがたい、とでも言うような。

めでるというより、おさまる。


出会えてありがたい。とでも言うような。


森下裕美は「大阪ハムレット」からがらりと作風が変わった。

何かあったんだろうか。切れてる。


「夜、海へ還るバス」は

レズビアンのお話だけど、それだけじゃなく。

トラウマとレズビアンと普通の愛のお話。

泣くこともなく、笑うこともなく

読み終わると慟哭が聴こえるような

そんな話。


漫画を捨てられてきた。

たぶん同じ思いをしている奴が5、6人居るはず。

私にとって漫画ってほんとうに大事なものなんだが

他人にとってそうは映らない。


漫画を捨てられてもいいように、

一番深いところに記憶するようになった。

「ちひろ」しかり「大阪ハムレット」しかり


漫画は漫画でしか与えられないものを持ってる。

傷のようにおさまってくれる。


誰かに何かを与えるって、たぶん言うほど簡単じゃない。

収まるほど与えるって、できる人にしかできない。


森下裕美。誰が何を言おうと、私は才鬼だと思う。


たとえこの漫画を捨てられても。

深いところが記憶する。

二度と忘れない。そんな漫画もある。


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