花の星
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series:短編
2 page
2012
2012-03-14
13:00:00
蜥蜴
ばつばつと 長く黒い水が 渦をかいてながれている 魚なんだろう しいろい背鰭が ちかちかひかり ひっきりなしに ういたりしずんだり よい、夜ですね ママサマがそういう ママサマ(……)
(1127文字数)
2012-03-02
18:04:03
あんまんと、肉まん
あんまり、あめがふりすぎて みどりいろの景色のなかに ぼたんの花が咲いているのだけど それが金魚のようだった 真みどりの葉に うもれた金魚 隣にいた銀背さんは てきとうなあいずちをう(……)
(1060文字数)
2012-03-02
12:22:07
ウサギと亀
真っ白い雪の中 まみどりのひいらぎが うもれていました しずかな音のない公園に いっぴきのうさぎが ひょうひょうとはいってきて おお、いけない 遅刻しそうだ、といって くすくす笑い(……)
(786文字数)
2012-02-29
19:46:06
星
ふなべりで 話などできない人と ふたりきりになった その人はどこか異国から来たらしい 言葉はつうじない その人は英語で ワタシは日本語 どちらも、互いの言葉がわからない ただ、(……)
(1284文字数)
2012-02-27
21:04:45
蜘蛛
少しうすい霧が立ち込めている みずみずしい緑色の葉の上に 真っ白い蜘蛛がいて 霧越しの森を見ている 蜘蛛の巣はたくさん水滴がついて それが真珠のようにひかり ふるえている 蜘蛛がぽつ(……)
(703文字数)
2012-02-26
17:06:27
にくまん
あちらのほうは きっと、海なんだろう まっくろい中で 小さな光が沢山瞬いて ゆったりゆったりゆれている 潮の香りって、すごいですね そういうから そうね、しめっています そういう (……)
(1139文字数)
2012-02-24
17:49:53
雨
暗い色のパズルを選んだら つくるうちにきがめいってしまった 失敗だったと笑って 邪魔をしようかどうしようか なやんでいるらしいみゃーこに話しかける やめておいてよ おわるまではさ 顔(……)
(736文字数)
2012-02-24
16:31:08
ぎもん
まっかな花びらが まっくろい川の上を すう、すうと 流れて過ぎ去る 白く、ながい うつくしい魚が したのほうにいて 黒い川の中 ゆっくりとおよいで うろこをきらめかせている (……)
(955文字数)
2012-02-22
21:32:15
川
赤紫の蝶が 川原のあちらこちらにある 青白い炎のまわりに とびかっていて たきぎの焦げるにおいがする ばちばちはぜる音の中 ぶう、ぶううんと なにか、重い羽音がする 蛾でもいるのだ(……)
(711文字数)
2012-02-19
13:54:12
キリンの子
角が甘く痛いという、たぶん彼はキリンのひとつなのだろう 首はもうすぐのびるんだろうと思う はえかけた角がいたがゆいと、またないて わたしに頬をすりつける でも、かいたらひりひりするんで(……)
(596文字数)
2012-02-19
11:03:21
クラゲの大群
あたたかく、 あかく、光がさしこんで 海のなかはゆんわり温もり ちいさな銀色の小魚たちが ひかりひかり、泳いでいく ――あたたかですね、 亀がいう 大分長く生きたらしい こおらから(……)
(501文字数)
2012-02-19
00:25:19
鵜飼い
明るい花びらのしたに わけのわからない 柔らかい、ぬめぬめしたものがいて それがしゃみせんをくれという それで、さしだしたら べんべんべん、べんべんべん、と ならしはじめる ―― リ(……)
(709文字数)
2012-02-18
22:25:20
いびつ
だあんだんと 海なりのような音が響いている ただ真っ白くあかるい月が くらい空にまっすぐのぼり 砂浜をぼおっと白に光らせている 歩くたびに後ろに紫色の足跡がついて おもしろがっていたら(……)
(718文字数)
2012-02-08
21:35:26
まぼろし
さぼてんが 土の中から生えてきた 亀が二匹 その傍を ゆっくりあるいて 通り過ぎる 雨でもふったのか 地面は湿ってぬくもり むうっとした空気が立ち上っている 長靴がやわら(……)
(1412文字数)
2012-02-07
21:00:00
芋虫
今日は彼女の誕生日で くまのぬいぐるみとバラを買って 桃色のリボンで飾り付けて わきにかかえてもっていったら 彼女は部屋中に桃色の花を散らばせて茫然としていた どうしたん、そう聞いたら (……)
(838文字数)
2012-02-07
18:44:10
うらら
台所で猫人が歌っている うらら、うらら うらうらうらー うららーうららー うら? うら? うら? だんだん、らが 巻き舌になってきて うるぁあ うるぁああ うるぁああと 叫ぶように(……)
(1114文字数)
2012-02-06
21:56:41
白い恐竜
真っ白い布にひとはり ほつれないよう、ひとはり 誕生日になにがほしいと聞いたら 真白い恐竜のぬいぐるみといわれて 茶色い小さな縫い目で目をつけて ひとはり 白い恐竜のぬいぐるみをつくった (……)
(627文字数)
2012-02-04
21:25:56
クラゲ
海の底まで見透かせるような夜 塩辛い波のうえに 氷るような月が きらんきらんと冷たく光る 月明かりのちょうど下に クラゲがひとついて それが白い花びらをはんでいる なにをしている (……)
(757文字数)
2012-02-03
22:54:55
白猿
柔らかく細かい雨が 音もなくふっている 銀色の雨 澄みわたった空の右のほうに ましいろい、かけた月が きらきらひかっている たくさんの波紋をえがきながら 水海に雨がふりそそぎ (……)
(658文字数)
2012-02-03
08:41:08
花
まっぐろい川べり 黒い影のような草花が風にざわめいている 空にはたくさんの雲が流れ ぐろぐろと渦を巻いて また先へと流れている そばに小さな黄色い風船をもった子が居て その風船に薬局の(……)
(1041文字数)
2012-01-23
15:21:06
your
幼かったころ 沢山の答えを 沢山の人がくれた それは、いまでも うみでゆらぐ、骨のないくらげのように 外側にくっついる 悪いなんて思えないし 好きじゃないなんて いえないけれど (……)
(664文字数)
2012-01-22
18:04:58
そろそろ、こえようか
いってはいけない だから いわずにきた思いは シーラカンスのように 死にもせず 進化もせず 死海の底で ゆらゆらゆれている : 月をしばらくみて 寒いなぁ、と思う もう、寝(……)
(1365文字数)
2012-01-21
16:28:22
いたい いたいの
きずあとに てをおいて いたいいたいの とんでけなんて はずかしいから 布団にもぐって ただ内緒で こころのなかで 朝になれば 痛みは消える いたい いたいの とんでけ いたい (……)
(1459文字数)
2012-01-21
12:18:00
波の音
―― だいっきらいだったんだ じぶん イヤだイヤだなんていいながら 解決も出来ない 何度も思い返す 嫌な思い出 ―― もう、こころは許しているのに 記憶が許してくれない 波(……)
(646文字数)
2012-01-19
21:54:04
テルテル
うそつき、というから 何が嘘かと思う 部屋はしっちゃかめっちゃかで なにもかもが 彼女の頭とシンクロしているように ごったんごったん 次々飛んでくる テッシュだの、猫のぬいぐるみだの(……)
(634文字数)
2012-01-19
21:33:13
くぬらのおう
くぬらのおうが 話すには あの人は 愛されたいと願いながら 愛せないようだった 目の前にいた黒猫は くぬらの王に言う くぬら、彼ら人らは 愛されたいと願いながら 愛せないので(……)
(596文字数)
2012-01-19
17:01:47
雨
ひどく奇妙なもので おおきなおおきな鐘の音が ぐわん、ぐわんと鳴り響いている どこから聞こえるのか、どうしてなっているのか よくわからないが あまりに響く音なので あたまがぐらぐらする (……)
(855文字数)
2012-01-18
21:58:05
白い鳥と海
ひどく静かな砂浜に彼はいる 空はなぜか薄明かるい こまかいたくさんの星が ちかり、ちかりと 瞬いている 海はおだやかで 深い青みをおびている くらい波間に ゆらゆらゆらめく 橙色(……)
(805文字数)
2012-01-17
22:25:51
鳥
うすべにの ただ、紅く いろづくつばきに 優しさの金色 紅いかんざしをくださいましたから それを髪にさして あなたに、あいにいこうかと 夜道をでましたら なにか、白いとりがいて (……)
(602文字数)
2012-01-17
22:14:19
蛙
ひり、ひりひりとした なにか、あさく 耳が震えるようなおとがして みあげたら 真っ赤な天に赤黒い鳥がたくさん、たくさんとんでいて 怖い、と、思う 祈るような気持ちになりながら 胸のな(……)
(822文字数)
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