花の星
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series:短編
3 page
2012
2012-01-17
10:43:02
アパート
なにが 敵かといえば うぬぼれという 恋文をもらったのは 17ぐらいの時で あまり深く 考えもしないで 付き合った : ―― こけがはえていますね ―― 世辞を言う(……)
(1352文字数)
2012-01-16
10:00:00
白い獣
青いすんだ湖のほとりで 白い獣はりんごをとりにきた 落ちているりんご やわらかい甘い おいしいの そう思いながら ふんふん、かいでいると おんなの人がいて それが、獣を見ている(……)
(1010文字数)
2012-01-15
00:16:10
夜更け
ふ、と、起きると まだ、夜更けのようでした 物静かな闇のなか ちく、たく、ちく、たくと 時計の音がします なにかつまらなくて 天井のしわを数えていましたが 少しして、あきて 障(……)
(591文字数)
2012-01-12
12:15:21
雨の上
たくさんの雨が降り 地は青鈍く濁る たくさんの雨は たくさんの音をたてて たくさんの地を わずかにふるわし たくさんの雨がふる 隣に大きなおにがいて それが、柔らかな腰布ひとつで (……)
(627文字数)
2012-01-11
19:22:29
ペニシリン
きょうは あたまがいたくて たくさんの ペニシリンが ひつようだった ペニシリンは 赤猫の名前で 頭が痛い時は 私の傍にいてくれる たくさんの ペニシリン というのは たく(……)
(590文字数)
2012-01-11
16:53:13
サンショウウオ
かわべりで 川に足を浸していた 隣に、サンショウウオさんがいて 彼は、ちゃいろいあたたかな石の上 お茶を飲みながら ひといき、ひといき ついている きゅうくつですねぇ なんて い(……)
(633文字数)
2012-01-10
15:51:52
霧雨
落日 夕陽の音を きいたことが きみはあるかい あれはね おおきなものだから しずむ たびに とてもひどい おおきなおとを たてる かなだいが たくさん なりひびく そんな 音(……)
(579文字数)
2012-01-08
19:11:43
さくらつき
桜色の月は うっすらと、たちのぼり 青めいた月光を ただ、こちらに なげかけていた そしたら くもが、すべてを つつんでしまう さむいひは すこし、かなしいですね そう(……)
(540文字数)
2012-01-08
18:46:50
るだ
ぐう ぐうでん でん ぐうでん そういう 音が、たくさんひびいていて まくろく ただ、ひたすら黒い うえも したも ひだりも、みぎも わからない 身がきれるような 寒い中 (……)
(974文字数)
2012-01-08
13:04:38
赤の金魚
れうれうとしたたりおちる あかい、しずくのつながりのなかに 金魚がたくさん 泳いでいる 背鰭が、金色で ゆなゆうゆうと いろはためく どうしたろう、と きづけば 鍾乳洞の様なところ(……)
(900文字数)
2012-01-03
13:51:33
no title
真っ赤なお手玉をかぞえあそぶ あの方をみていた 白魚のような手のひらは ただ、おてだまを あげては、つかみ、 あげては、つかむ あなたは、わらう なんにもいわない 私も、わらう(……)
(561文字数)
2011
2011-12-29
20:12:27
すず
そのとき、確かに なにかがクマリと おとをたてた 竹藪のなか 真っ直ぐに空に延びる竹にかこまれ はて、と 見上げたら 真ん中のほうに 優しいお月さまがいて かけているようだったか(……)
(690文字数)
2011-12-29
12:56:25
人魚
前方から まあまあとした音が流れている 暗い湿った路地 八百屋がポツリとたちすくみ 他には崩れかけた廃屋ばかり なすでも買おうかと 八百屋を覗いたら たいそう長い、白い髭のじいさんが(……)
(571文字数)
2011-12-28
21:45:20
あかはこのは
なにか 知らないけれど 汚れているようでした 提灯鮟鱇のような あかいぼんぼりが 沢山かわにながれていて はて、と おもったら それは赤く、少しひかる 牡丹のはなで 暗いチカチ(……)
(747文字数)
2011-12-28
17:40:40
いちごあめ
やわこい雨が たんたんとふっていて にごった 青緑色の池に たんたんと おちつづけている あちらに蛙のかぶりものをした人が居て そのTシャツに書かれた文字が 「べーすぼーる」だとい(……)
(992文字数)
2011-12-27
22:18:38
やもり
でんでん太鼓のしたに 小さな子がないとって 赤いべべで ないとって かけより、だきしめたら わらう どうした、いうたら なんもいわんから あんたのプライドだ 母ちゃんにも とおちゃ(……)
(559文字数)
2011-12-27
21:40:09
きざみつける
ずいぶん暗い夜だった きりきりした なにか、妙な音が 空の上のほうに 流れていて からんだり ほぐれたりしている そこいらは 真っ青に すみとおり まるで湖のようで 薄いとこ(……)
(917文字数)
2011-12-25
20:55:12
ご武運を
―― ちかごろね そういう私をみながら あなたは、にこにこしている ただ、なんのおともなく 舟はすすんでいる ぱらぱら たまに雨が降る 金色の、雨が ぱらぱら ほほに 落ち(……)
(1359文字数)
2011-12-24
17:02:10
孔雀
むぎばたけが どこまでも広がっている その真ん中に わたしは、 ぼつっと たちすくんでいる そばには だれもいなくて ただ、風だけが みょんみょんと すぎさり 次第に、ほほが(……)
(1017文字数)
2011-12-21
23:03:30
金魚、赤い花
―― あ、今って終わるんだ そう、いったら あなたは うん、そう そうなんだ きいてもないのに わかったふりして うなづいてきた とても、寒い日だった さむさが しみつくよ(……)
(1172文字数)
2011-12-20
22:52:01
亀
温かな黒いみずのなかにいて 目をつむれば なにかはらはらとした ちかちかとした ひかりが見えた もうすぐですからね そう言われたから めをひらいたら ましろい、毛のある 亀に乗っ(……)
(773文字数)
2011-12-20
09:59:16
空
あおい空の中から まるで すきとおるような しろい雪が おともなくふってくる みちぱたの かれ草 水草 つちのうえに しめったように 消えていく 雪がきえてしまうのが わからなか(……)
(813文字数)
2011-12-19
04:54:44
わたし
なんだかぺりぺりしていた 空がかけてくるように ちかちかと やけに ひかりは瞬いて あかい夕日は かたまり とけかけた 金のはちみつのようだった ーー なかみは なんにもか(……)
(1135文字数)
2011-12-18
21:34:17
雪鬼
お酒を買って帰る道 ま白い光が びゃんびゃんと通り過ぎて それがなにか うるさいようで みあげたら大きな白いガが 電灯にあつまって みゃんみゃんいう そのあかりのした うっすら光る (……)
(1431文字数)
2011-12-18
21:28:03
雨
だあだあとした 黒い黒い空を見上げていたら ひとつ 割れるような雷 とつぜん、 びいいんとはじけ その次に、大量の水が なべをさかさにしたように おちてきて その突拍子もない展開に (……)
(890文字数)
2011-12-18
09:30:40
蛇の目
ざんばらの雨は じゃんじゃんばらばらと ふりそそいでいて 青い、ふかくけむった景色に 紅と金の蛇の目の傘をかかえ たらたらと あるいていたら しろい蛇がいっぴき、でてきて おや、良い雨(……)
(580文字数)
2011-12-18
08:42:35
川の水
ふなゆらゆらと 川面のみずは うすい青色 エメラルド ひのひかり ひかり ひかり きらめいて 川の魚が さらさら 泳ぐ 冷たい水の そこのほうまで すきとおり じゃり(……)
(688文字数)
2011-12-17
17:26:12
あはは
ひとりぼっちで にんげんを あいせるなんて 最強なのよね つよくなっちゃったわ わたし なんて いったら 幸運にもね なんて 笑う そうね 幸運にも (……)
(502文字数)
2011-12-17
15:59:33
人間失格 I love you
川べりの暗い空の中で ゆっくり、雲が動いていた くものきれま、きれまに 明るい星が見えて ひどい寒さに思えた くもでうすまった空の青 くもがとぎれたら 深い、青 まるで 足場(……)
(1461文字数)
2011-12-14
17:37:23
戒 癒
真白い花がたくさん咲いていて そのところどころに ぼ、ぼつ、と 赤い花が ぼってりと咲いております こまかい雪が落ちて おちて そういった花々のあいま 黒い地面に吸い込まれています (……)
(815文字数)
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