花の星
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Year.2011
5 page
2011-05-21
21:15:53
たいよう
すずらんの群生 おだやかな青緑の やわらかいまるい葉に ちいさな、白い花が うすくうずくまっている ぽつ、ぽつと 月はもう だいぶ、しずみかけていた 遠くの方から 空にひびくよう(……)
(1511文字数)
2011-05-19
18:49:23
花の実
この間、わたしは おかしくて 気がついたんです それで なんだか おかしかった あの 柘榴の実に なにが いるんでしょうか いったい、だれが なにを いえるんでしょう (……)
(709文字数)
2011-05-19
18:28:15
そら
たとえば いのりのような 雨がふっている たとえば 金色の 花が咲いている この世の愛を かぞえましょう 銀の波が くりかえし くりかえし 月の下で ゆっくりゆ(……)
(1329文字数)
2011-05-18
23:21:07
うた
私は、江戸っ子みたいになりたいんです 江戸っ子はね あれ 喧嘩と火事は江戸の華、なんてね そんなわけあるかあ、って どう考えても、そんなわけないことを 開き直ってるんです そういったら(……)
(1311文字数)
2011-05-18
23:18:12
かすかな話
ふ、と とおくから はなしてみたら まわりにまわるのは その人の影だった : ぷわ、ぷわ、と 海の底から あぶくのような 白いきれいな水泡が うえにあがっていった (……)
(3294文字数)
2011-05-17
11:34:53
涙を捨てよう
涙を捨てよう そう、思ったのは 実は自分が だいぶ人を怨んでいて、怒っていたんだと 気がついた朝方だった 人を、愛していながら 求めながら、わたしは 人を深く、たぶん、誰よりも深く (……)
(2616文字数)
2011-05-17
00:45:11
鏡が欲しい
月が瞬いていて それが、 あまりに美しいと わらいながら 啼いた かれは、わたしの手をとって ただ しずかに、わたしをひいて 歩いてくれる 暗い くらい 闇の中で ちい(……)
(1982文字数)
2011-05-11
21:26:36
月星
やわらかな、月あかりの下 遠くの暗い地面の中に すいこまれるように 自転車のライトが、消えていった 「一方通行」と 黄色に白いペンキでかかれた さびれた看板のそばを通ると まっすぐ前(……)
(1988文字数)
2011-05-03
17:50:56
風
鳥鳴いておりまして 風鳴いております あれ空の鳴き声 私には たくさんの 嫌なことが ありました 鳥鳴いておりまして 月は昼に隠れ 日の光さえ ときに 雲に みうしなう (……)
(562文字数)
2011-04-30
22:58:52
星
さっき子守唄聞こえたって ちいさいこがいうから どんなうた、ってきいたら お空の星が、またたいて ちいさな声でうたってたんだ っていう ちいさなこえで またたきながら 嬉しそうに 歌(……)
(626文字数)
2011-04-30
18:31:35
桃の木
やさしい風吹いて 金色のタンポポ揺れる あさひ のぼったばかりで それでもあたたかい 日のひかりは金をおびた桃色で ほんのわずかに、 桃の香りがする 人はみな 愚かだから (……)
(1350文字数)
2011-04-29
22:44:24
月の下
海辺の砂浜 砂にさえ 銀の月の光 祖母は、私とともに居て 私は、青い魚を三匹ほどもって 祖母の隣にすわりました 祖母は、もう高齢で ぽつ、ぽつ、と話しました 魚ぁ、とれるとは (……)
(1685文字数)
2011-04-28
21:02:24
有難い
悩み続けることは 悩めるからかも しれないですね 雨粒おちる 空のすきま 虹はまだかからない 雲母 太陽 日の光 なにかを変える奇跡があるなら もしかしたら 愛なのか(……)
(638文字数)
2011-04-17
19:01:04
ビー玉
寝転がって空を見ると ビー玉のそこのように光っていて きれいだなぁ、と思う 太陽ばかりみつづけると 目がくらむから たまにそらして 地面を見て 下ばかり見続けると 影ばかり大きく(……)
(1473文字数)
2011-04-09
18:29:08
トオミ
牡丹を見ると あまりに深い色をしながら たくさん、花がなっているので だれかに花束をもらった気になる とても たくさんの 綺麗な花束が ふいに、目の前に現れる : トオミが泣き(……)
(1989文字数)
2011-04-08
14:47:12
さくら
あか、もも、しろ あの子が、そう うたうから そらは? ときいたら うすあお、という あか、もも、しろの花のいろ うすいあおい真ん中に しろい、しろい 弓のような月 ほんのり(……)
(733文字数)
2011-04-06
23:49:51
距離
けっして 縮まらない なくならない その きょりは 平行線に のびる 線路のように けれど たしかに となりあい どちらが かけても 生きてはいけない : 彼の目を見ている(……)
(4156文字数)
2011-03-29
17:25:35
つきあかり
喧嘩して、家をでて 走って走って、少し歩いて、つかれた さみしくなって みちっぱたで 壁にもたれて、 ああ、でも もうすこしいったら、 そういえば、土手原で 川が見えるとおもって (……)
(1208文字数)
2011-03-26
12:25:35
やわい
やわいやわい夜 ひかりごけのあとおって 湖についたので 布ほどいて そばにあったほそっこ枝に みみずつけて つれるかと、湖の中に ほおりこんだ 尚志がきて、後ろに座って 尚志はふ(……)
(1108文字数)
2011-03-26
11:50:02
稚魚
とるとるそとした魚臭い夕闇に 森の奥から 一人の青年が出てきて 髪の毛がきらきら薄い金色、 それで、わたしにむかって 水をください、というので もっていた桶の水を差しあげた 陽のしず(……)
(731文字数)
2011-03-26
11:33:19
おとな
「大人になったら 涙もろうなって、 大人なのに こどもみたい」 そういって、笑うから 竹竿おって、かんかんつけて かんかんかんかん ならしてみたら こどもみたい、と また笑う (……)
(532文字数)
2011-03-09
13:17:52
とざされた海
ふと目が覚めると 暗い海の底にいて すべてがぎゅうっとしばられているような きつくて苦しいことになっていた 上の方はよるらしいが、 うすく、ふなゆらゆらと、 月明かりのようなしずかな光(……)
(3760文字数)
2011-03-02
19:20:30
笑われるような
タコになりてえ って いったら、笑ってくれた どうやってなるのよ あのね、タコっつってもね うみのタコじゃないのよ 陸のタコよ タコみたいな ぐにゃぐにゃぐでぐでで 馬鹿にさ(……)
(337文字数)
2011-02-28
18:36:36
鈴虫
りいりいって 季節はずれの鈴虫が鳴いていて お月様にかげがかかって こまかい雨が ふっていた それで、お師匠さまは あのねえ、っていったの あのねえ、あのねえ 守れることは、すくな(……)
(428文字数)
2011-02-28
13:37:07
マギマギとキグキグ
海辺のふらゆらふらゆらと ささやかにながれる宇宙で キグキグとマギマギは手をつないでいる 森の中で 木がたおれて 誰も聞いていない 木の音 音は存在していたかどうかで 町(……)
(518文字数)
2011-02-13
11:06:58
陰陽混在 不倶戴天
月しずむ湖畔 男と女は歩いていた 女は うたをうたっていた この世 流るる 永い永いときの中 あなたは わたしを 育ててくれた しかし あなたは 想いを忘れた 知恵を忘れた (……)
(875文字数)
2011-02-05
18:57:07
みなこ
知らなければならない鬼の顔は そう、たいして恐ろしいものではない だけど、深く辛く冷たいものだ : 喫茶店に入ると彼女はもう来ていた そこはかとなく、つめたい顔で 私に手を振った。(……)
(3083文字数)
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