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Year.2005
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2005-07-09 00:00:00
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Series :
イド
...
Oops
よのなかはいつも酸欠状態の灰色で
空気の足りないこの頭には
霧がかった景色が見える
どこまでも
どこまでも
はっきりとも
くっきりとも
誰も見えず
なにもわからず
ただ迷う千鳥足で歩いてる
こーこはどこだ
こーこはどこだ
思い出せる過去なぞ
くるしいくるしいものばかり
想い描ける未来なぞ
くらあくさみしいものばかり
あたしはだーれだ
あたしはだーれだ
世の中はいつも薄暗い灰色で
酸素のない水にいるみたいに
あっぷあっぷと溺れてる
気がついたら真っ白なせかいにひとりで
苦しいと泣いていた
もう空気も水も酸素もない
ただ悲しいと泣いていた
世の中を見ている私の瞳はいつも灰色がかってる
...
2005-07-09 00:00:00
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Series :
イド
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ゆめはみの話
ゆめはみの術
ゆめはみの術でござい
さあ、おたちより、おたちより、
愛の欲しいこびとがひとり
愛が欲しいと嘆いてた
逃げながらでも
逃げながらでも
それでも愛が欲しかった
神様に願い、悪魔に頼った
こびとはいつしかもっともっとひとりになった
ぼろぼろ流れたこびとの涙
たぷんたぷんと川になり
海になり
空になった
空には月が、まあるい月が、ぽっかりふわふわ浮いていた
愛の欲しいこびとがひとり
愛を求めてにげていた
なにものにも侵されない
悲しい場所を求めてた
どんな場所にも愛は無かった
こびとの欲しい、愛はなかった
悪魔よ、神よ、この世のいのちよ
私に愛を、愛をください
月が落っこち、こびとのもとへ転がった
こびとの涙はただ流れ、流れ流れてたあたあと
絶望などない希望もない
ただ愛だけが欲しいだけ
こびとは月をぎゅうと抱きしめ
そおっとそおっとキスをした
月にうつるこびとの姿
その胸の真中に、愛は確かに存在してた
...
2005-07-09 00:00:00
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Series :
イド
...
いぼいぼの愛
いぼいぼしたつちのこ
誰からも受け入れられないつちのこが
ある日、かえるに恋をした
いぼいぼしたかえる
誰からもあいされないかえる
つちのこの愛を知って
夜にしくしく泣き出した
ああ、つちのこ、
ぼくは大変みにくいじゃないか
きみといたら、きっとぼくはもっとみにくくなる
いきものはすべてぼくを避けるだろう
つちのこを遠ざけたかえる
それでもつちのこの愛は変わらなかった
いぼいぼしたかえる
ぼくらはなんも恥じることは無い
たとえ誰が笑っても
ぼくはきみといるときが幸せで
君をしあわせにしてみせるから
いぼいぼしたかえるは月の夜
そっと湖の蓮の葉にのってみた
つちのこはそこへ泳いで、そっと隣に寄り添ってみた
月はまっすぐな銀色で
しずくはきらきらとひかり、
ほたるが夜を飛んでいた
湿った空気に、蓮の葉から金色のわっこが流れた
綺麗だった
美しかった
いぼいぼしたかえるはいぼいぼしたつちのこのいぼいぼをそっとさわってみた
つちのこは静かな瞳でかえるをみた
いぼいぼしたかえる
いぼいぼしたつちのこ
ふたり
そっと寄り添っていた
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
眠れない姫君
眠れなくなった眠り姫は王子様を待たない
眠れなくなった眠り姫は誰にも何にも期待しない
ただ剣とパンとマントをちょうだい
眠れなくなった眠り姫は果敢に外に飛び出すのだ
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
汝
なんじのりんじんを愛せよと
何度でも聞かされるこの世の真理
でも先生
先生、私は誰にも愛されなかった
りんじんではないからなの
先生、私だって愛したい
そのためなら何にだってなるのに
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2005-07-09 00:00:00
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Series :
イド
...
魚月
ほら、情緒まんてんでしょう
真夜中の中のピエロが言う
赤い鼻、てらてらいわせて
かぶった帽子が真昼まで落ちる
ほら、抱きしめてください
ピエロの差し出した魚は銀色だった
私の腕で、ほろほろ泣いた
未来が見えない
過去は傷だらけ
どこにいっても愛されなくて
たったひとりでひとりになった
魚をそっと抱きしめよう
すうっとその目を愛してあげよう
泣きやむまで
泣きやむまで
銀の魚は月になる
いつか明日月になる
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
ちょっとだけだよ
ちょっとだけだよ、たーちゃんいってさ
あたしの耳を、半分カジッタ
ちょっとだけだよ
あたしの耳は半分欠けて
欠けたから、聞こえなくなった
世界の半分、愛しみの音
たーちゃん、あたしの音かえして
たーちゃん、愛ばっかり聞きたかった
もうあんなこと言わない
たーちゃん、あんたの母さん、あんたのこと
愛しても憎んでもいた
たーちゃん、あたしの母さん、声聞きたい
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
しんじて
凪の木のあたりに幽霊がいて
幽霊はどうも魚に恋をしていて
魚がつれないと泣いている
川にはなった一匹金魚
孤独噛みしめゆらゆらゆれる
ながされるわけもなく
たゆたむわけもなく
孤独な金魚に幽霊は恋をしていて
幽霊の涙を金魚にあげる
川が日上がらないのはそんなわけで
幽霊川と呼ばれている
君を信じられなくなって何年も経った
金魚はまだゆられたままだろう
幽霊はまだ恋をしているだろう
凪の木の下に幽霊はいた
もう幾年も昔の話し
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
亀の季節
季節恋し、と亀は言った
亀は一千年生きてきた
一千年間で、老衰だった
想い恋しと亀は言った
亀は誰をも愛さなかった
うさぎとて愛しはしなかった
愛など亀は知らなかった
亀はいま、たったひとりで死のうとしている
いさぎよし、とつぶやきながら
亀はただ、ひとりぼっちの想いを知っている
亀の目から雫が落ちた
空はどこまでも蒼く澄んだ、透明色の風だった
亀は神様に感謝する
例え独りであったとしても
亀のそばには命があった
風も
水も
木という木々も
亀は知ってる
亀がひっそり息をとめて神様のもとへ昇った時
吐息のような風が吹いた。
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2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
こじき
いきていてなんにもなくなった
こじきがいてこじきはなんにも
なくなったてのひらをおおぞら
にさしだしてどうかかみさま、
もういちどこのぼくにすべてを
くださいといった。
かみさまのじひぶかいまなざし
こじきはただただねがったけれ
ど、あさになってもよるになっ
ても、こじきのてにはなんの
想い
もやどらなかった。
こじきはぜつぼうしてかみさま
をのろい、すべてのせかいに心
とざし、少し泣いた。あるひこ
じきがめをさますと、てのひら
にちいさな花の鱗片がのってい
た、こじきはそれをみて、また
少し泣いた。
こじきはやっと気がついた、
てのひらにはなんの想いもないけれど
この世界、全てのものがあることに
こじきはなんにも持っていないけれど。
花びらをそっと吹いて、舞っていくのをただ見てた。
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
太陽と微熱
ぼうぜんとした、ねつのある月がおち
たいようは半欠けになって、それをみていた
かあさんと、とおさんと、ぼくでひろった
月をひろった
湖の、熱い熱い、とろけたたいよう
月をしのんで泣いていた
夜のなかに、ぼうぜんとした、ねつがのぼった
たいようの熱だった
つきがこいしい
つきがこいしい
湖は、灼熱の夢をさかせ、
たいようのこえをひびかせる
とろけた月はバターみたい
とおさんと、かあさんと、ぼくは泣いた
たいようの、こえをないた
つきがこいしい
つきがこいしい
月はただただとろけたままで
あいをかたる
たいようへの
あいをかたる
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
きじ
ないたり笑ったりして生きて来た
ないたりないたりが多くなった
ないたりないたりないたり多くなった
やっと私は鳥になった
もうめいいっぱい、なけるんだよ
月のまっすぐな夜の中で
ひときわ大きく呼吸して飛んでいったよ
鳴いたり笑ったり、やっといつもの鳥になった
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
おおい
おーいこっちはじゅんちょうだ
そっちにいくまでもつかー、もたねかー
わかんねぇけどじゅんちょうだ
おーいこっちはなくほどのこともなく
いたいほどのこともなく
ただまいにちをすごしてーる
あんたにあうのをたのしみにしてーる
そっちにいくまでにー
もつかー
もたねかー
わかんねぇけども
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
ものいわぬ花
ものいわぬはなは
ただゆれてばかりで
つゆにぬれたそのこうべを
もくもくもたれさげてゐる
ものいわぬはなは
あわれみなどかけられもせず
ものいわぬままに
どんなにかつらくても
ただものいわぬままで
ただものゐわぬままで
ものいわぬはなは
あい、その
つらさをしる
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
どうしよう
この世に産まれて
どうしようもなくなって
気がついた
君がずっと
ずっとずっと
そばにいて、見守っていてくれたこと
泣きながら
倒れながら
足も手もぼろぼろで
じっと見つめる僕の目に
荒野は広く、荒荒しく
君がずっと
ずっとずっと
ここにいて、見守っていてくれたから
僕はまた、歩き出せる
ありがとう
ありがとう
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
媚薬
びやくばかりをなげかけているのはそりゃおまえにきまってる
おまえはごうじょっぱりのいじっぱりで
すこしかなしいにんげんだ
びやくばかりをなげかけているのはなぜかはしらねぇ
おれぁぜったいぜったいぜったい
おまえのよーにはならんときめた
ごうじょっぱりのいじっぱりのわがままなおまえは
そりゃびやくなげなきゃだれにもあいてにされねぇ
そりゃすこしばかりかなしいにんげんだけれども
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
どこにもいけない僕たち
どこにもいけない僕達がいて
どこにもいけない獣がいました
山も谷も空も孤独で
ただ歩けずに、くちはてるだけ
だけどいつか
だけどいつか
僕達は歩きだすに違いない
空も谷も山も見るため歩きだすに違いない
この世を見るため歩きだすに違いない
この鎖をひき千切って
きっと
きっと
きっと
空は澄み
谷は深まり
山はしんしん静まりかえる
太陽が昇り
月が沈み
桃色の朝がくる
どこにもいけない僕達は
悲しみながら笑いながら
その日にこがれてる
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
子猫
あのね遠いところで小猫が泣いていた
どこにもいけない猫が泣いていた
駅の中で泣いていた
空はそぼふる暗い雨だった
水色の灰色の雨だった
寒かった、小さかった
白い猫、灰色になった
雨が降っていた
あのね、猫が泣いていた
どこにもいけないと泣いていた
小さな猫
鉄橋の下でないていた
電車がごうごう通っていた
草を食べていきていた
鳥がうたれて地面に落ちた
猫が泣いていた
あのね、猫が泣いていた
真昼の草原、小さな花が咲いていた
猫は泣いて花を食べた
むしるたびに切ないにおい
猫のひげに水滴落ちる
猫が泣いていた
からからゆれる、ふきのとお
水車に似た名もない草
猫が空を見上げると
青い青い青く青く深い空
ビリジアンのキギにゆれる
小さな猫
あのね、猫が泣いていた
ここにいて欲しかった
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
人魚
つきがゆるゆる広がる夜に
昼間のような明るさのもと
湖にいった
湖には人魚がいて
るびーみたいな赤い目で
きらんきらん、からんからん
鱗を一枚さしだして
「つれて逃げて」と私にいった
つきはゆるんでそろそろ落ちる
この世の終がもうすぐ来るよ
つきがおい
おってくるよ
冷たい水が足にまとわり、熔けていくよ
背負われながら人魚は言った
「かあさん」
あちらこちらにようよう黒く
あやかしのしるし
金の目がひかるよ
人魚はしくしく泣きだした
泣いたはじから熔けてった
「かあさん」
とけないで
とけないで
そらのつきがおっこちて
柔らかなぶどうが次々咲いた
人魚は笑って笑って笑って泣いた
「かあさん」
ぶどうをつぶすと足がむらさき
暗い夜にほのく光る
はしるたんびに紫のしるし
「かあさん」
ばいばい、ばいばい、ばいばい。
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
地蔵
石になった地蔵が
草の生えた丘に
小さく転がっていた
石になった地蔵は
少しだけ微笑んで
悲しそうで
固まっていた
小さな稚児がきて
走ってきて
草に混じって
転び、泥になった
稚児はひとしきり泣いて
泣いて
手の平に
赤い赤い血が滲み
稚児はもういっぺんだけ泣こうと
口、開けて
地蔵に気づいた
石になった地蔵の
おかんむりを
熱い手の平でそっと包んだ
冷えた石
手の平の熱さが
すっと染みた
すっと染みて
あったまった
稚児は手の平をなめて
またもういっぺん走り出す
地蔵はそれを見ながら
微笑んでいる
あったまった石は
地蔵になる
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
しつじ
「しごくきれいなんだ
ゆうゆうのはねなんだ
とりみたいなんだ」
しばしるの場所で
寝転びながら羊はゆった
ととと、ととと、音がして
はちみつが垂れていた、まるで誰もいないみたいに
太陽が金の色に焦げてる
「ぼくのしきなひとなんだ
ととと、ととと
はちみつがたれてるね
まげをゆっているんだ、きれいなゆいかたなんだ」
羊の長いまつげがゆうゆうゆれる
「にんげんなんだ、にんぷなんだ
にんぷってなに?
ぼくをなでるんだ、しごくきれいなゆびで
こんぼくじょうにぼくがいること
あのひとはしってるんだ」
はちみつがたれきって
とと、と音を最後に
もうなにも聞こえなくなった
小さな小さな小さな羊
「ぼくじょうをでただけっこんしるんだ
ぼくのつのでゆびわつくるんだ
すきですていうんだ、きれいなひとはほほえむんだ」
きっとそのひと、あなたのこと、
あんまりなにも想ってないよ
きっとそのひと、あらまぁって想うよ
「いいんだ、ぼくはそいでもなくかもしれないけど
それでいいんだ」
太陽が金に焦げてる
羊がゆっくり眠りにつく
小さな小さな小さな羊
おやすみ
おやすみ
おやすみ
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
いのり
いつでも誰かが
見守っていてくれる
そんなつもりで
女の子は
祈りをささげる
いつでも誰かが
見守っていてくれる
そんなつもりで
男の子は
旅を始める
どこかにいる
どこかの誰かが
いつでもどこかで
見守っていてくれる
嘘かも知れないけど
信じてないけど
女の子は祈り続ける
男の子は祈り続ける
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
悪魔
なにも難しいことはない
ここに にさんの小例がある
その小さな角
その小さなキバ
きみは世に言う悪魔だ
それは間違いない
人はなぜ名前をつけるの
悪魔と言うからには
いろいろと問題がある
難しいことじゃない
人に近付いちゃいけないとか
人を愛しちゃいけないとか
そんなことだ
人はなぜ決まりをつくるの
まぁもしもきみが
牙を抜き角を抜くなら
悪いようにはしない
人間として歓迎しよう
少し風変わりな人間だけど
人はなぜ僕をみないの
生きるか死ぬか
難しいことはない
その二択だ、
悪いようにはしない
人間になりなさい
人はなぜ
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
アルルカン
アルルカン、アルルカン
きれいなひとみ
きれいなくちびる
アルルカン、アルルカン
なぁなげくんじゃないよ
石炭工場の親父が笑う
なぁなげくんじゃないよ
人生長いよ
つらいことは普通にあるよ
アルルカン、アルルカン
おどりをおどって
アルルカン、アルルカン
くるくるまわって
アルルカン
なぁわらってもいいけど
美術館の女性が微笑む
なぁわらってもいいけど
どこにいっても
笑いものだけど
アルルカン、アルルカン
アルルカン、アルルカン
鞭うたれても
アルルカン
石投げられても
アルルカン
アルルカン、アルルカン
足元ゆれても
笑え笑え
笑え笑え
アルルカン、アルルカン
なぁ、アルルカン、アルルカン、
どこにいっても
悲しいことは、
どこにいっても
いつでもあるから
アルルカン
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
ミミズ
よいちゃん、どしたのってきくと
「おしっこしたいの」いうの
だから
よいちゃん、おしっこいいけど
ここでしちゃだめっていうのだけど
よいちゃん、ばかだから
けっきょくしちゃって
あーあーあーあーあー
あのね、よいちゃん、
ミミズにうまれて
ミミズとしてやっていくけれど
だいじなことは
そんなにないよ
だからおぼえてね
ここでおしっこしちゃだめよ
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
さんかくきん
まっすぐにそだてさんかくきん
まっすぐにそだて
そらあおいあのあおいそら
さんかくきん まっすぐにゆけ
にゅうどうぐもがたちならび
おまえをさえぎりじゃまをする
あつくもえぎるたいようは
きっとおまえのあだとなる
だけどゆくんだ
まっすぐにゆけ
さんかくきん
さんかくきん
まっすぐにゆけ
ただ、ゆくだけでいい
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
さんしょううお
さんしょううおがいったよ
「おれはおまえでおれがおまえだ」
さんしょうおはばかだよ
さんしょうおがおよぐよ
「どこにもいけぬならいのちをたつべしたつべし」
あんたはばかだよ
どこまでもすんだこのかわのなか
さんしょうおはおよぐよ
どろでにごったこのかわのなか
さんしょうおがおよぐよ
みじんこがいますきとおった
ありんこがいまみずにはいった
とりがしろいしろいはねを
なまぎたつようにたかくないた
よるだよ
あさだよ
くさ、くさ、みずくさに
ふくんだしろいみずのいろ
さんしょうおはおおごえをだしたい
このよにうまれておおごえをだしたい
うまれたときに、いえなかった、ことばをだしたい
くろ、くろ、まっくろに
やみがおちてよるがくるよ
ああ、いきてきたんだなぁ
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
待ち人こず
あのさぁ、ゆきさぁ、ここにいて
ここにいたいと願うけど
この時間はいつまで続くのかなぁ
どこまで続くのかなぁ
あのさぁ、ゆきさぁ、ゆきはたまに怒って
電話も切って
メールも切って
私がいないふりをするけれど
私がいないってなにかなぁ
ここにいるのに、ゆきがみないとさぁ、
なんか多分、もういないのとおんなじなんだよねぇ
あのさぁ、ゆきはさぁ、
私がいるのってさぁ、多分、ゆきがいるって
わかってくれるからなんだよねぇ
多分さぁ、いるとかさぁ、いないとかさぁ、
誰かがいなきゃわかんないんだよねぇ
あのさぁ、ゆきさぁ、
私は多分どんなにどんなにゆきが怒っても
ゆきのことが好きなんだよねぇ
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
針山
遠くの方で 針山が鳴っている
僕は君以上に
あるいは 君ぐらいに
絶望し鬼に食われた。
祈りをシャダンし
痛みの山にのぼる。
果てしのない下落。
<絶望が鳴っている>
<絶望が鳴っている>
永久に食われきみにあう
<きっと>
僕はもう死んでいて
残留思念の熱となった。
遠くの方で君が、鳴っている。
...
2005-07-09 00:00:00
...
Series :
イド
...
ぽた
コップに水を注ぐと
水はとおとおと流れ落ち
流れ落ち、溢れてしまった
溢れた水はとおとお、とおとお、走りゆき
走りながら蛇行した
水の中にすいすい、すいすい、銀色の粒が流れて
蛍光灯の光りに熔けて
すいすい、すいすい、鯨になった
とおとお、とおとお、とおとお、流れたい
わたしの中に、何粒の銀があるのだろう
とおとお、とおとお、とおとお、ゆきたい
水に熔けた、私の体に、鯨は泳ぐだろうか
考えていたら、いつの間にか水になった
とおとお、とおとお、とおとお流れた
床は冷たかった。
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くっきりとも
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くるしいくるしいものばかり
想い描ける未来なぞ
くらあくさみしいものばかり
あたしはだーれだ
あたしはだーれだ
世の中はいつも薄暗い灰色で
酸素のない水にいるみたいに
あっぷあっぷと溺れてる
気がついたら真っ白なせかいにひとりで
苦しいと泣いていた
もう空気も水も酸素もない
ただ悲しいと泣いていた
世の中を見ている私の瞳はいつも灰色がかってる