花の星
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series:中編
1 page
2012
2012-02-17
15:36:03
金色のつき
青色の深いくらい湖に 真白い花が咲いている 幾重にも、幾重にも ぼったりと重いくびを傾け 花が咲いている 窓からみおろした湖は 花びらを浮かせて 風にゆんぐりゆがいでいる あた(……)
(1567文字数)
2012-02-16
21:53:06
お帰りなさい
おかえりなさい ただいま : 家にかえると 奥さんで新妻でカエルのオタが 玄関前で泣いていた しくしくして、気づかない 扉をコンコンふたつたたいて どうしたの、と聞いたら (……)
(2389文字数)
2012-02-10
18:53:56
氷
ちかちかときらめく満天の星空の下 みずうみが薄い氷をつけて 空の光に照らされている その中央にやけにひっそりとした真白い月がのぼっていて 空の黒をよりいっそう深めている みずうみの右はし(……)
(1637文字数)
2012-02-10
11:25:46
桃色の鳥
ももいろの小さな鳥は すこし黄みがかったそのくちばしで おばあさんの背中を叩く 小さなくちばしは すこし軽くて おばあさんの肩で たしたしと、音を鳴らす おばあさんの背中は とおに(……)
(1545文字数)
2012-02-06
15:53:08
確認済み
荒れ地と雑木林の近くにある古びた美術館は ほこりのたまった白い壁に たくさんの茶けた額縁をつけて たくさんの古びた絵を飾っていた 幾度か通っていたが 別にたいしたこともなく つまらない(……)
(1621文字数)
2012-01-17
17:24:17
金柑
まっぐろい 鍋のそこのような空でした 今にも雨がふりそうな 重みのある雲が ゆったりゆったり もぐもぐと、ゆれております 窓からそれをみあげた南は 今日は寒くなりそう、嫌な天気だ、と(……)
(1803文字数)
2012-01-14
10:13:45
わすれない
わすれないよお わすれないよお 風がないでおります わすれないよお わすれないよお ここは、海原 海は青黒く なかにいる、魚たちの せびれ、おびれが たまに ち(……)
(1793文字数)
2012-01-13
20:42:37
マイ
ひどく寒い夜空に こおりのように かちこちに、凍えた月があって その下に、マイと父はいて マイは、あまりの寒さに さっきから耳とか、鼻が ちりちりといたく、 たぶん、真っ赤になっている (……)
(2223文字数)
2012-01-10
19:34:50
ばんば
まっぐろい夜の中 まっぐろいなべ底みたいな空に ちらちらと ゆきがふり 星もない ただ真ん中あたりに 月がかかり したのほうに したのほうに 雪に、ひかり ばんばの家は は(……)
(1661文字数)
2011
2011-12-19
13:47:25
カメラ
きいろい砂漠のなかで らくだにのって それを案内するひとが ぽてり、ぽてりと はなすのは ピン呆けカメラで あなたをとったら ぼやけてみえて かなしかった だの 不思議な話ばかり(……)
(1731文字数)
2011-12-14
20:00:23
メイ
メイは メイとつけたのが 誰だか知らないのですが それでも、気がついたら まわりのひとから メイ、メイ、と呼ばれているので 自分はメイなのだろうと 思っている 小さな少年でした (……)
(2576文字数)
2011-12-10
13:38:05
へのへのもへじ
あおいあおい空に たくさんの、細かい星が きら きら きらきら ひかりかがやいて いまは なにをいっても 私の言葉は 嘘にしか 見えないと 思った だから唇を ぬいつけた どう(……)
(1641文字数)
2011-11-06
18:19:32
虎
今日ね となりにトラがいて ずっと 話してくれたんです そのトラは どこかの国の、奥にいて いつもは笹を食べているんだそうです 肉を食べないでいれば 仙人虎になると いわれたんだそう(……)
(2116文字数)
2011-10-02
23:56:24
ダイヤモンド
ダイヤモンドはね たかいたかい 圧力の中 ずっとずっとがまんして なるんだよ たかいたかい 圧力の中 ずっとずっと がまんして ぐっとぐっと がまんして 光り輝く ダイヤモンドに(……)
(1691文字数)
2011-10-02
21:48:54
一秒間だけ、女神
きっこのなまえは 吉寺 占め子という 親が何を考えて そんなたわけた名前を付けたのか 私にはわからない きっこはいつも、親の話をしなかった : きっこが酔っ払いながら よくいう(……)
(3251文字数)
2011-10-01
21:27:04
金の虫
♪~♪~ のみこめない痛みを前に 迷っているような日々 言えば傷つき いわなければ泣くこともない ♪~♪~ だけど のみこめない思いを前に ただ ♪~ ♪~ 見えない思いの重さ 金の虫けらの話を(……)
(1900文字数)
2011-10-01
21:26:39
エギンのたび
♪~♪~ りん りんりんとなる 星空のした きみといたね いつも ♪~♪~ りん りんりんとなる 星空のした 君の思いなんて いつも わからなかった ♪~♪~ りん りんりんとなる 星空のした ♪~♪(……)
(2098文字数)
2011-10-01
21:26:35
空の蟻
♪~♪~ いつも思っていたんだ 砂山で作った城 鳥の鳴き声 夕暮れ 公園のベンチ ブランコ ♪~♪~ いつも思っていたんだ 手に入れた何もかも 崩れ落ちる時 わかっていた ♪~♪~ いつも 思っていた(……)
(1906文字数)
2011-09-25
22:36:37
song
りぐりぐ りんりんと 鈴が鳴ります 気がついたら 雨の中 たくさんの魚がいて 気がついたら 雨の中 たくさんの月明かり すいこんでひかる 星のような魚がいて すいすい す(……)
(1913文字数)
2011-09-20
13:20:34
ボタン
いつから 終わらない旅に出てしまい ここまで迷ってきたように思う : しがみついていた たくさんの、なにかが 崩れ落ちるのを感じるたびに ただ、私が間違っていたように思えた。 (……)
(2651文字数)
2011-09-19
11:34:44
号泣
真っ黒い湖 薄い水仙が ひかり、ひかり 水音だけが響いている 睡蓮がゆっくり顔を上げて そのつぼみが うす銀にかがやいて 月明かりを吸い込んでいる ―― 自我が、そうだという (……)
(1755文字数)
2011-09-09
16:42:33
サグ
朝方だったようで うすい青い砂漠森には ところどころにはえた木から 黒い影が伸びていた あるくと、きゅ、きゅ、きゅと 足音がして なるほど、ここ鳴き砂なのだね、と サグは思った サ(……)
(3879文字数)
2011-09-06
16:48:40
泰魚
ぼおっとした海に はんかけの月が ひっかかて 落ちかけている うすい青い雲が 空のはしからはしまで流れていた 私たちは大きな白い魚の背中に乗り その銀にひかり 月明かりに反射す(……)
(1537文字数)
2011-09-02
20:22:37
赤い実
♪~♪~ きっとさ きっとさ 砂落ちる 砂山の上 歩く蟻 ♪~♪~ いつ崩れるかわからない そんな刹那を積み重ね ♪~ 砂で作った城みあげ おれがすごいや おまえがいい ♪~ きっとさ きっとさ(……)
(1508文字数)
2011-08-31
16:10:07
失ってはならない
なにか、雨は 細く細く 銀色の矢のようにふっておりました それがあまりに細いので ひとにつきささり それが痛々しく すこし恐ろしいようでした それでもその雨の合間に うつくしい光は(……)
(1755文字数)
2011-08-03
12:50:29
愚痴
しかしその さわさわとした夜の中 あまりにふさふさの 綺麗な金色の草花が さわいでいるので あたしは、泣きたくなるのでした あたしは、 黒毛の猫になって おおきく伸びをしました (……)
(1503文字数)
2011-08-02
17:31:26
まるで
その日 夕暮れのにおいがした 日が暮れる 太陽がしずむ音は ほんのわずか さびしい またね、といわれるようだった こうどに はったつした ぶんめいのために わたし たち(……)
(1568文字数)
2011-07-30
13:06:30
あぶく
あぶくがたっていました 赤い湖畔のそとに わたしたちはおりました 月なのか、太陽なのか おだやかなひかりが 木々の影から差込んで あぶくがはじけるたびに その水しぶき ひたすらに 瞬(……)
(2015文字数)
2011-07-25
00:13:05
ジョウさん ―― 闘心
ひとは 自分をフォローしようとしたとき ひとを、否定したり 非難したりする言葉を 必ずはく それは、そのひとが 相手の行動や言葉に、無意識に 自分への否定や非難感を感じ 相手が悪い(……)
(2374文字数)
2011-07-24
16:47:57
渡り鳥
狂気の目と、 純粋なこころを持つ人の目は 似ている。 : 柔らかな雨が降っていた あたたかい雪のような雨だった なまぬるい、大粒の 重い雨だった そういえば、 小さな頃、(……)
(2216文字数)
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